解説
タバコの害で歯が抜ける!?
日本人が歯を失う原因の第1位となっているのが歯周病です。歯みがきなど日常のケアが不足していると、歯の周囲に“歯垢(プラーク)”と呼ばれる細菌の汚れの固まりができてしまいます。プラークで増えた細菌は、“歯石”という固まりを作ってさらに増えます。やがて、細菌は歯と歯ぐきのすき間に入り込んで歯ぐきに炎症を起こします。さらに炎症が進むと、歯を支える骨にもダメージを与えてしまいます。そして、骨が歯を支える力が弱くなり、歯が抜けてしまうというわけです。
歯周病菌は日常の歯みがき不足などで増えるだけでなく、タバコに含まれるニコチンによっても増えてしまいます。また、タバコを吸う際に発生する一酸化炭素は口の中の環境を悪化させ、炎症を起こしやすくしてしまいます。このため、喫煙者は歯周病のリスクが高いのです。
困ったことにタバコを吸わない人でも、人が吸ったタバコの煙を吸う“受動喫煙”によって同じく歯周病リスクが高まってしまいます。

大切な人のために受動喫煙をなくそう
秋田県で行われた大規模な調査によれば、男性の非喫煙者で、家庭内で受動喫煙がある人では歯周病リスクが3.1倍、家庭だけでなく職場など家の外でも受動喫煙がある人では、約3.6倍と重度の歯周病のリスクが高いことが報告されています。
歯周病リスクが高まるのは大人だけではありません。子供でも、受動喫煙によってタバコから来るメラニン色素が歯ぐきに残ってしまい、歯周病になりやすくなった例が多くあるのです。
幸いなことに、受動喫煙の害を受けなくなれば、タバコを吸わない人の歯周病リスクは大きく改善し、歯周病の治療効果も上がりやすくなります。
自分自身の、そして大切な家族の歯を守るために、飲食店でも交通機関でも「選ぶなら禁煙席」を徹底しましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『歯周病と全身の状態 喫煙と歯周病の関係』
■国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
『受動喫煙と歯周病のリスクとの関連について』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
禁煙の場所を選ぶようにしていない人は、人よりも歯周病になりやすくなるリスクが2.27倍になります。
A: 禁煙の場所を選ぶようにしていますか?
B: 人よりも歯周病になりやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
73.5%
227人 |
26.5%
82人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.33%
35人 |
62.14%
192人 |
7.77%
24人 |
18.77%
58人 |
Z検定値 | 2.73 |
---|---|
オッズ比 | 2.27 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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