解説

不安や悩みごとがあるときには「『眠たい』なんていっている場合じゃない!」と思うものですが、こんなときに限って、日中に眠気やだるさに襲われることがあります。これは、不安や悩みからくる抑うつが、眠気やだるさと関係しているからです。
抑うつが進むと、うつ病になってしまうことがありますが、うつ病の症状の中に「健康的ではない眠気」があります。これには2つのパターンがあり、ひとつは「寝付けない不眠の症状+朝早く目が覚めてしまう」というパターンです。この場合、慢性的な睡眠不足になり、朝方に調子が悪い、つらいと感じることが多いのです。これはどちらかといえば一般的なうつ病の場合に起きやすくなります。
もうひとつ、“現代型うつ病”といわれるうつ病による眠気のパターンがあります。このパターンでは、寝過ぎてしまう“過眠”が眠気の主な原因です。現代型うつ病の患者さんは、10時間以上も続けて寝てしまうこともあり、いくら寝ても眠い、寝足りないと感じることがあります。また、夕方につらいと感じることが多いのが特徴で、「身体が鉛のように重い」という感覚があるとされます。
どちらのパターンの眠気やだるさにしても、生活の上で困りますし、不安や悩みごとの原因となるストレスに立ち向かう力が奪われてしまいます。そこで、普段からストレスの原因にできるだけ上手に対処して、心も身体も健康を目指す“ストレスコーピング”を身につけてみましょう。
ストレスコーピングには、ストレス源に対する自分の考え方や感じ方を変えるという方法があります。これは、「目の前の問題に対して、見方や発想を変えてみる」ということ。つまり、ポジティブシンキングのことなんですね。
たとえば、「新しい仕事を始めなきゃいけないけれど、うまくできるか不安…」と思っていて、それがストレスになっていた場合。考え方をポジティブに切り替えて、「新しいことは誰でも不安なもの。うまくいかないことがあったときは、その対処も経験として積み重なってスキルアップできる」とポジティブに考えるといった感じで、ものごとを前向きにとらえるんです。
こうして、ストレス源を「なんだ、コントロールできるじゃん」とポジティブに考えると、ストレスは「自分で改善することのできるもの」になります。そうすることで、受けるストレスが小さくなるんですね。このように、ストレスの見方を変えて心を楽にすることで、不安・悩みから来る眠気やだるさを寄せつけないようにしましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 こころの耳
『用語解説 メンタルヘルス関係』
■心身健康科学
『ストレスコーピング −自分でできるストレスマネジメント−』
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『ストレスコーピング』
執筆 : 麓加誉子
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
ものごとを肯定的に考えるようにしていない人は、日中に眠気やだるさを感じやすくなるリスクが2.39倍になります。
A: ものごとを肯定的に考えるようにしていますか?
B: 日中に眠気やだるさがありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
65.4%
202人 |
34.6%
107人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
32.36%
100人 |
33.01%
102人 |
24.27%
75人 |
10.36%
32人 |
Z検定値 | 3.47 |
---|---|
オッズ比 | 2.39 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
>数値の見かたはこちら