解説
体重が急に減る理由
食事量に変化がないのに、体重が減る理由にはさまざまなことが考えられます。たとえばがんであれば、がん細胞が体の栄養を奪ってがんを大きくするのに使ってしまうから、肺炎などの炎症では細菌と戦うためにエネルギーを消費してしまうからです。しかし、病気でもないのに理由なく体重が減ってしまったら、食事の内容を見直さなければなりません。
『my healthy(マイヘルシー)』のアンケートでは、豚肉を食べない人は体重が減りやすい、という結果が出ました。では、豚肉にはどんな効果があるのでしょうか?
体重が急に減るということは、筋肉量も急激に減っているおそれがあります。栄養素の中でも、筋肉を作るのに特に重要なのがたんぱく質です。筋肉をつけるべきアスリートがプロテインを飲むことが多いということをご存知の方も多いかもしれませんね。プロテイン(protein)はたんぱく質の英訳です。アスリートがプロテインを飲みながら運動して筋肉をつけていくのはこのためなのです。肉類にはたんぱく質が豊富に含まれているので、筋肉が減った時に肉を食べることは理にかなっています。

豚肉を牛肉・鶏肉と比較すると
では、肉の種類によって栄養がどのように異なるのか見てみましょう。豚肉を牛肉や鶏肉と比較してみると、いくつかの特徴があります。
まず、たんぱく質が3種類の中で一番多いという点です。その差はわずかですが、筋肉をつけたいという目的には豚肉が最も適しているわけですね。
次に、豚肉は牛肉と比較して脂質が少ないという点です。同じ量で比較した場合、牛肉は脂肪の割合が多いので胃もたれや下痢をしやすく、たくさん摂取できない人もいるでしょう。
最後に、豚肉は牛肉・鶏肉と比較してビタミンB1が多いという点です。ビタミンB1は水に溶けやすい水溶性ビタミンに分類され、尿から排出されてしまうために、毎日摂取することが必要な栄養素です。
身体は主に炭水化物をエネルギーとして使用しています。ところがエネルギーが不足すると次に自分の身体の筋肉を壊してエネルギーにしてしまうのです。すると筋肉量が減ってしまいますね。ですが、ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに効率よく変換することで、筋肉がエネルギーに変えられるのを防いでくれるのです。
ビタミンB1は、1日に成人男性ならば約1.4㎎、成人女性ならば約1.1mgとるとよいとされています。豚ヒレ肉ならば100g中に約1㎎含まれているので、男性なら約140g、女性なら約110gとると、1日の摂取目安量を満たすことができます。筋肉を増やすには豚肉を食べて、さらに運動することが大切なのです。

<参考文献>
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
■菱田明、佐々木敏監修 第一出版
『日本人の食事摂取基準 2015年版』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、豚肉を食べていない人は、急に体重が落ちやすくなるリスクが9.08倍になります。
A: 月に1回以上、豚肉を食べていますか?
B: 急に体重が落ちましたか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
92.9%
287人 |
7.1%
22人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.91%
9人 |
89.97%
278人 |
1.62%
5人 |
5.5%
17人 |
Z検定値 | 4.26 |
---|---|
オッズ比 | 9.08 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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