解説
肩こりの原因は?
肩こりの原因は姿勢が悪いことや運動不足、ストレスなどによる血流の悪化から起きるようになります。
姿勢が悪いと肩の筋肉が緊張しっぱなしになり、硬くなって、筋肉の間を貫いて通っている血管を絞めつけます。筋肉は伸び縮みすることで血管のポンプ作用も担っているので、運動が少ないと血流が悪くなってしまうのです。
筋肉にとって血流は重要です。その理由のひとつは、筋肉が活動するのに必要な酸素や栄養は血液を介して得ているからです。血液の量が減れば酸素も栄養も減り、筋肉を動かすエネルギーが減少、長期では筋肉量が減ってしまうこともあります。
もうひとつの理由は、筋肉を動かした後に出る疲労物質が血流にのって回収され、肝臓などで処理されるのですが、血流が少なければいつまでも筋肉に疲労物質が残ってしまいます。これが肩こりの原因です。

適量のアルコールは肩こりを改善
適量のアルコール摂取が肩こりを予防するならば、その理由はやはり血流にあると考えられます。
1回のアルコール摂取でも身体が温かくなるのを感じますが、これはアルコールにより血管が開いて血流がよくなったためです。さらにすでに肩こりが起きていると、痛みにより筋肉が常に緊張した状態になりますが、アルコールを摂取すると痛みの神経が鈍くなり、痛みが緩和され筋肉がほぐれます。
長い目で見ればアルコールを取ることでストレスも減らせます。ストレスは交感神経を活発にして血圧を上げ、長くその状態が続くと動脈硬化につながり肩の血流を低下させてしまいます。また、ポリフェノールが多く含まれていることで有名なアルコールといえばワインですが、ビール・日本酒・焼酎にも含まれていて、活性酸素の発生を抑え、血流を良くする効果があります。

アルコールも取りすぎれば肩こりの原因に!
いくらアルコールが肩こりを予防するからと言って、飲みすぎはいけません。肝臓が悪くなるほどアルコールを飲むと、逆に肩こりになりやすくなります。肝臓が悪くなると身体から肝臓に戻る血流が滞り、全身の血流が悪くなるからです。さらに肝臓の解毒作用も低下し、筋肉の疲労物質の処理も遅くなってしまいます。
適量なアルコールの量はアルコール分解能力に個人差があるので一概にはいえませんが、少なくとも血液検査で肝臓の数字に異常値が出ていれば飲みすぎている可能性があります。その場合は、お酒ではなく身体をほぐす適度な運動などで肩こりを改善しましょう。
参考として、厚生労働省の“健康日本21”によると、適量の飲酒は1日にアルコール20g程度までとしています。これは、ビールならば中瓶1本、ウイスキーやブランデーならば60ml程度(ダブル1杯程度)、清酒ならば1合弱、焼酎ならば70ml程度となります。

<参考文献>
■厚生労働省 健康日本21(アルコール)
『アルコール』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、グラス一杯程度のアルコールを飲んでいない人は、頭痛になるほどの肩こりになりやすくなるリスクが2.02倍になります。
A: 月に1回以上、グラス一杯程度のアルコールを飲んでいますか?
B: 頭痛になるほどの肩こりがありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
43.7%
135人 |
56.3%
174人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
12.94%
40人 |
30.74%
95人 |
25.89%
80人 |
30.42%
94人 |
Z検定値 | 2.92 |
---|---|
オッズ比 | 2.02 |
信頼度 | 99.6% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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