解説
運動習慣の意外な効果とは…?
運動不足解消のために毎朝ジョギングをしたり、ジムに通って積極的に運動習慣を維持させていたりと、健康意識が非常に高い人がいます。一方で、「すごい努力だけれど、時間がないから自分には難しい」と感じている人もいますよね。しかし、多忙な毎日を送っている人でも、日常生活の中でできる運動があります。
それは、普段から歩いて移動するときに「早歩き」をすることです。早歩きをするだけで運動不足を解消するのに十分な運動量となり、血管の老化を予防する効果があると報告されています。
運動習慣がつくと、肥満や運動機能のおとろえを予防したり改善したりすることができるということはよく聞く話です。しかし、運動習慣にはほかにも意外な効果があります。そのひとつが、髪の毛に対する美容効果なのです。

毛髪のメカニズムと血液循環
1本の毛髪は“毛幹(もうかん)”と“毛根(もうこん)”のふたつの部分から構成されています。毛幹とは、私たちが髪の毛と呼んでいるもので、束ねたり、切ったり、普段から手で触ることができる部分のことです。また、毛根とは、頭皮よりも深い位置にあり、手で触れることはできない髪の毛の根っこの部分です。
毛幹のケアは、手で触ることができる部分なので、ヘアトリートメントやヘッドスパなどを行うことで日常的なケアができます。では、毛根に対するケアでは何ができるのでしょうか?毛根は触ることができないので、間接的にケアをするしかありません。
仮に髪の毛を植物に例えるなら、根っこにしっかりと栄養が与えられないと、いくら太陽からの光を葉っぱに当ててもきれいな花は咲きません。髪の毛も同様に、頭皮から生えている毛幹ばかりをケアしていても効果は不十分で、毛根へ栄養をしっかりと与えることが重要になります。そのためには全身の血液循環を良くしていくことがひとつの方法となります。
美容室やエステなどで頭皮マッサージをされることがあると思います。頭皮マッサージは、頭部の血管の血流を良くする効果が期待できるのですが、早歩きを習慣的に行っていると、頭部を含む全身の血流が改善されます。血液は身体の各部分に栄養を運ぶ働きがあります。早歩きによって全身の血流が良くなると、頭部にもしっかり栄養が行きわたるので、毛根をケアすることができるというわけですね。日頃から早歩きなどの全身を使った運動を行い、美しくツヤのある健康な髪を手に入れましょう。

<参考文献>
■藤田恒太郎著、南江堂
『人体解剖学』
■長寿科学振興財団
『健康長寿ネット』
執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
1日に10分以上の早歩きをおこなっていない人は、髪にツヤがなくなりやすくなるリスクが2.97倍になります。
A: 1日に10分以上の早歩きをおこないますか?
B: 髪にツヤがないですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
22.7%
70人 |
77.3%
239人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
4.85%
15人 |
17.8%
55人 |
34.63%
107人 |
42.72%
132人 |
Z検定値 | 3.51 |
---|---|
オッズ比 | 2.97 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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