早歩きの習慣化で集中力をアップ
リスク
3.31倍

早歩きの習慣化で集中力をアップ

1日に20分以上の早歩きをおこなっていない人は、集中力が続かなくなるリスクが3.31倍になります。

解説

早歩きの運動の強さは卓球に匹敵

日常的な移動手段として、よく歩いている人はあまりそのことを意識せず、何気なく目的地まで歩いているかもしれません。景色を眺めながらのんびりと歩くこともあれば、急ぎ足で歩くこともありますね。ところで、どのくらい速く歩くとどの程度の運動になるのでしょうか?

運動や活動の強さは、“メッツ(METs)”という単位で表すことができます。メッツとは、身体を動かさない安静時の状態を1として、ある身体活動が安静のときの何倍の運動量になるかを示すものです。たとえば、座ってするデスクワークは1.5メッツ、普通の速さで歩くと3.0メッツ、早歩きならば4.0メッツとされています。ほかには、競技ほどではない軽い卓球も4.0メッツとされています。つまり、早歩きと卓球は同じくらいの強さの運動なのです。「早歩きくらいは簡単」と侮れないですよね。

早歩きは、卓球と同じくらいの運動の強さ。したがって、習慣的に早歩きの運動をすることで、足腰の筋力や全身持久力などのトレーニング効果が期待できます。早歩きの運動効果を最大限に引き出すためには、身長が1〜2センチ高くなるくらいのつもりで背筋を伸ばすこと、歩幅を広げること、リズミカルに気持ちよく歩くことが重要です。

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毎日のスモールチェンジで高い集中力を継続

早歩きは脚を中心に全身の筋肉を使う運動であるため、血管を柔らかくして血液の循環を改善するという効果もあります。血液は細胞が活動するのに必要な酸素やエネルギー源となる栄養素、細胞から排出された二酸化炭素や不要物を運搬する働きがありますが、高い集中力を発揮するときには脳の中で神経が活発に働く必要があります。したがって、大量のエネルギーを脳に届けるため大量の血液が脳に送る必要があるというわけですね。

早歩きによって血液の循環が改善されると、脳にも十分な血液が循環します。また、脳における血流の改善は、集中力だけでなく認知症や脳卒中の予防など、健康維持にも貢献するとされています。

血流をよくする方法として、身体を温める、食事内容を改善するなどの方法もあります。とはいえ、毎日の多忙な生活の中に血流改善のために新たな習慣を取り入れる時間をつくることは現実的に難しいことも多いでしょう。

特別に時間を取らなくても、今と同じ生活の延長線として普段の歩き方を早歩きに変えるだけで良いのです。生活を変えることは心身ともにストレスを伴いますが、小さな変化であれば無理なく続けやすくなります。大事な会議がある日、学校でテストがある日など、高い集中力を発揮させたい日は多いと思います。早歩きを毎日の生活に加える小さな変化「スモールチェンジ」を取り入れて、集中力の続く身体をつくり、仕事や勉強を乗り切りましょう。

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<参考文献>
■公益財団法人長寿科学振興財団
『健康長寿ネット』

■国立健康・栄養研究所
『改定版「身体活動のメッツ(METs)表」』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

1日に20分以上の早歩きをおこなっていない人は、集中力が続かなくなるリスクが3.31倍になります。

A: 1日に20分以上の早歩きをおこないますか?
B: 集中力が続かないほうですか?

A
はい いいえ
14.2%
44人
85.8%
265人
B
はい いいえ はい いいえ
1.94%
6人
12.3%
38人
29.45%
91人
56.31%
174人
Z検定値 2.74
オッズ比 3.31
信頼度 99.3%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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