解説
チョコレートの半分は糖分
チョコレートは、炒ったカカオ豆をすりつぶしたものに、砂糖やミルクなどを加えて作った菓子です。砂糖がかなり入っているため、板チョコ1枚50gのほぼ半分が糖質となっています。コーヒーに入れるスティックシュガーで換算すると、およそ8本にもなります。
歯の表面には細菌が存在していて、この細菌は飲食物の中の糖分を分解して酸を作り出します。この酸はとても強いため、歯の表面が少しずつ溶けていきます。繰り返して糖分をとると、細菌の活動が活発になってさらに歯が溶けやすくなります。
口の中にある唾液は、酸を中和して中性に近づける働きがあり、歯が溶けるのを防いでいます。また、唾液に含まれたカルシウムやリン酸をもとに歯を修復してくれます。しかし、糖分を含む甘い食品をひんぱんに食べていると、唾液の力では歯の修復が間に合わず、虫歯へと進んでしまうのです。

虫歯が進むと…
虫歯が進行して穴が開いてしまった歯は、唾液の成分で自然に修復することはできません。こうなると、歯医者さんで虫歯の穴を埋めて治療する必要があります。また虫歯がさらに進むと、歯の神経にまで細菌が達してしまい神経を抜かなくてはいけなくなったり、歯の根元に達した細菌のために膿が出たりする可能性もあります。
最終的には大切な歯を抜かなくてはならないことにもなりかねません。歯は食事をする上で重要で、一生使うものです。まずは口の中が酸性にならないように、甘いものを食べた後は歯を磨いたり、うがいをすることが大切です。
ただし、歯の溝や歯と歯ぐきのすき間には歯ブラシが届きにくく、歯みがきだけでは完全に細菌を取りのぞくことはできません。そのため、歯みがきだけで虫歯を完全に予防することは難しいのです。そのため、糖分によって口の中が酸性になる時間をできるだけ短くし、歯の自然な修復を助ける必要があります。
糖分の多い甘いお菓子はチョコレートだけではありませんが、チョコレートは間食としてつまみやすいので注意が必要です。小粒のチョコレートをつい2つ、3つと続けて食べてしまうという人は、糖分を口に入れている時間が長くなり、虫歯になりやすい環境を作り出してしまいます。この点では、キャンディもそうですね。また、チョコレートは脂肪分が多いため歯につきやすく、糖分が歯の表面に残りやすいのです。
チョコレートのように甘いものを食べた後には、歯みがきはもちろん大切。それだけでなく、時間を決めて適量を食べ、なんとなくいくつもお菓子をつまんでしまうことのないようにしましょう。年齢を重ねると歯ぐきがやせて歯の表面が見える範囲が広がり、虫歯になりやすくなります。大人の虫歯リスクを知って、虫歯を予防しましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『むし歯の特徴・原因・進行』
■杉田浩一他編集、医歯薬出版
『日本食品大事典 第3版』
■香川芳子著、監修 女子栄養大学出版部
『食品成分表2015』
執筆 : 管理栄養士キクチエミコ
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
チョコレートをよく食べている人は、虫歯になりやすくなるリスクが2.67倍になります。
A: チョコレートを食べないようにしていますか?
B: 虫歯になりやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
17.2%
53人 |
82.8%
256人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
3.24%
10人 |
13.92%
43人 |
31.72%
98人 |
51.13%
158人 |
Z検定値 | 2.7 |
---|---|
オッズ比 | 2.67 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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