解説
どうしてイライラしてしまうの?
ちょっとしたことでイライラしてしまう。場合によってはケンカになってしまう。人間関係が悪くなったり後から嫌悪感に悩まされたり、イライラはいいことがありませんね。
イライラしやすいときというのはどういう状態なのでしょうか。イライラは喜怒哀楽でいうと「怒り」に該当します。怒りは脳の中でも本能に近い感情を司る“大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)”というところが活発になって発生します。たとえば悪口をいわれてとっさに『何だと(怒)!』と思うのはこの部分です。
ところが人間にはそのほかに“大脳新皮質(だいのうしんひしつ)”という部分があります。ここは論理的な判断を行う部分で、ヒトやサルなどの高い知能を持った動物で発達しています。この部分が今までの経験や知識から感情を司る大脳辺縁系をサポートします。先ほどの例でいえば、悪口を言われて怒りがわいたけれども、「ここで怒ると今後の人間関係に悪影響だな」とか、「周囲の目が気になるな」などと状況やあとあとのことを考えて、ぐっとこらえるといったことができます。

セロトニンがイライラを抑えてくれる!
この大脳新皮質は、情報を伝える3つの物質によって調節されています。それは“ドパミン”“ノルアドレナリン”、そして“セロトニン”です。この3つがバランスよく働くことで感情のコントロールが可能となります。ドパミンは快楽や報酬に対する行動を司り、ギャンブル依存のときなどに活発になる物質。ノルアドレナリンは危機管理や危険を察知する物質です。
このドパミンやノルアドレナリンはどちらも身体にとって必要な物質ですが、過剰になるとちょっとしたことで不安になったりイライラしてしまいます。そしてこの2つを調節するのがセロトニン。本来セロトニンはリラックスを促す物質ですが、ドパミンやノルアドレナリンの暴走を防ぐ役割も持っています。このセロトニンの材料は“トリプトファン”というアミノ酸の一種です。体内では合成できない種類の成分ですから、食事からとる必要があります。摂取量が少ないとセロトニンが枯渇してしまうのです。
そこでお勧めなのがマグロ。マグロはトリプトファンを多く含んでいるうえに、セロトニンの合成を促進するビタミンB6も豊富に含んでいます。ですから、効率的に体内でセロトニンを作ることができます。最近「イライラするなあ」と思っている人。美味しいマグロを積極的に食べてリラックス、そしてトリプトファンをしっかりとりましょう。

<参考文献>
■日経Gooday
『「怒り」との上手な付き合い方』
■文部科学省 食品成分データベース
『ビタミンB6:魚介類:含有量Top 10』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、マグロを食べていない人は、イライラしやすくなるリスクが3.05倍になります。
A: 週に1回以上、マグロを食べていますか?
B: イライラしやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
9.7%
30人 |
90.3%
279人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.91%
9人 |
6.8%
21人 |
51.13%
158人 |
39.16%
121人 |
Z検定値 | 2.78 |
---|---|
オッズ比 | 3.05 |
信頼度 | 99.4% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
>数値の見かたはこちら