ストレッチを活用して太りにくい体質作り
リスク
1.63倍

ストレッチを活用して太りにくい体質作り

週に3回以上、ストレッチを行っていない人は、標準体重を上回りやすくなるリスクが1.63倍になります。

解説

ストレッチの方法と効果

ストレッチとは「伸ばす・広げる・伸長する」の体操を指しています。一般的に運動の前後にはストレッチ体操を行って、怪我の予防や疲労回復、運動パフォーマンスの向上を図りますね。ところで、市民マラソンのスタート前に待機しているランナーを観察していると、両手を挙げてゆっくりと背伸びしている人や、手足をぶらぶらと動かしている人などがいます。ストレッチの方法にもさまざまありますが、ストレッチの方法が違うと身体への効果は変わってくるのでしょうか?

ストレッチで得られる効果のひとつに、筋肉の柔軟性向上があります。柔軟性の向上を目的としてストレッチを行う場合には“スタティック(静的)ストレッチ”と呼ばれる方法を取ることが多くなります。ゆっくり背伸びはこちらのタイプです。

スタティックストレッチの場合、30秒以上の時間をかけてゆっくりと筋肉を伸ばしていきます。自分の体重をかけたり、2人組みになって相手に押してもらったり、筋肉をしっかり伸ばす工夫をしましょう。大きく息を吐きながら、くり返し関節まわりの筋肉をゆっくりと伸縮させることで、関節が動く範囲が広がるため、身体の動きをより柔軟にすることができます。息を吐くことを忘れてしまうようならば、「1、2、3…」と声に出して数を数えるとよいでしょう。

また、運動神経の活性化を目的として“ダイナミックストレッチ”と呼ばれる方法もあります。スポーツの競技に合わせた動作を取り入れながら、筋肉を収縮させて関節を動かしていく方法です。サッカー選手がフィールドを軽く走りながら腕や足首を回している場面はテレビでもよく見かけますね。

その他にも、大きく脚を振るなど反動をつけて筋肉を伸ばす“バリスティックストレッチ”や、ある筋肉とペアになる筋肉を収縮させることで目的の筋肉を伸ばす“PNFストレッチ”など、さまざまなストレッチの方法や目的があります。ただし、こうした動的なストレッチは、ストレッチに慣れており、筋肉のしくみを理解している人が、身体が温まっているときにやることで効果が発揮されます。これからストレッチを始める人は無理に行わないようにしましょう。

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ストレッチで消費するエネルギー

さて、ストレッチも運動のひとつですから、ストレッチによってエネルギー消費が増えてダイエットになるのでしょうか?かんたんに計算してみましょう。

体重60㎏の成人が60分のストレッチを行うと、約145kcalのエネルギーを消費します。ストレッチの運動の強さは、座って行うラジオ体操や立って行う家事と同じ程度。若い年代の人からすればストレッチによる直接的なエネルギー消費量は少ないように思えます。

しかし、ストレッチの効果は、実行したときのエネルギー消費だけではないのです。ストレッチによって姿勢や運動能力の基盤が改善すると、全身の大きな筋肉を動かす運動をしやすくなります。たとえば股関節やひざ、足の関節が動かしやすくなり、大股で早歩きができるといった効果です。こうした肉体改造に繋がることから、日常生活や運動時のエネルギー消費量が大幅に増えます。ストレッチを行うと直接的な効果のみならず、運動と肉体改造の相乗効果によって体重を維持したり減らしやすくなるのです。

また、運動する習慣を新たに作りたい人、キツイ運動に抵抗がある人は、自宅でストレッチをすることから始めてみてはどうでしょうか。最初は軽いストレッチから行い、身体が慣れてきたら汗をかくダイナミックなストレッチに移行していきましょう。ストレッチをきっかけに、好きなスポーツや運動を安全に楽しめるようになると、運動習慣がしっかり身につきます。

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<参考文献>
■日本ストレッチング協会
『ストレッチの普及を目指して』

■CREATIVE STRETCHING
『運動前のストレッチングがパフォーマンスに及ぼす影響について―近年のストレッチング研究の結果をもとに―』

■武蔵野健康づくり事業団
『健康づくり支援センター』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

週に3回以上、ストレッチを行っていない人は、標準体重を上回りやすくなるリスクが1.63倍になります。

A: 週に3回以上、ストレッチを行っていますか?
B: 標準体重を上回っていますか?

A
はい いいえ
29.3%
252人
70.7%
608人
B
はい いいえ はい いいえ
8.84%
76人
20.47%
176人
29.19%
251人
41.51%
357人
Z検定値 3.06
オッズ比 1.63
信頼度 99.7%
集計数:860人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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