ストレスを軽くする、よい「休み方」
リスク
3.49倍

ストレスを軽くする、よい「休み方」

休憩や休日をしっかり取ってストレスを解消していない人は、週に1回以上、体調不良になりやすくなるリスクが3.49倍になります。

解説

ストレスによって生じる体調不良

精神的ストレスによって体調を崩すことは広く知られています。代表的な体調不良として、頭痛や睡眠障害、食欲不振などの症状が出ることや、風邪などの感染症にかかりやすくなることが挙げられます。また、胃腸の炎症や頭痛、腰痛、めまいなどがストレスによって表れることもあります。

ストレスがきっかけで生じる体調不良から回復するには、その原因となっているストレスを解消したり和らげたりといった対処をする必要があります。ストレスが原因となっている体調不良を放置しておくと、症状がさらに悪化したり、感染症を繰り返しやすくなったりと、悪循環に陥ってしまうおそれもあります。

それでは、体調不良の原因となっているストレスに上手に向き合えないと、どのような健康問題がでてくるのでしょうか。たとえば、怒りを感じやすいためにストレスが溜まるという人は、不整脈や心筋梗塞などの心臓の病気につながりやすいといわれています。反対に、怒りの感情を抑えつけて、表に出さないようにすることでストレスが溜まるという人は、ガンのリスクが上がるといわれています。

また、ストレスによって飲酒の量や回数が増え、身体に負担がかかるほど飲み過ぎてしまったり、タバコを吸ったりイライラや睡眠不足からスナックや甘いお菓子を食べ過ぎてしまったりと、健康を損なう行動が増える間接的な影響が起きることも少なくありません。

75045

質の高い休憩や休日を取りましょう

ストレスへの対処方法はさまざまありますが、どのように問題を解決すると良いのでしょうか。よく使われる例として、コップ(ストレス耐久力)に水(日々のストレス)がどんどん溜まっていくと、コップの容量を超えたときにストレスがコップからあふれて、身体に何らかの問題が表れるといわれます。

このようにストレスがあふれないためには、まず水(ストレス)が流れ込まないように根本の環境を改善したり問題を減らしたりするということが挙げられます。とはいえ、ストレスには仕事の環境や経済状況のように、急に改善することが非常に難しい部分も多くあります。

一方で、コップの容量を大きくしてストレスへの耐久性を高める、溜まったストレスをコップから抜くといった方法があります。溜まったストレスを抜く、つまりストレスを解消するには、休憩や休日にしっかり休むことが大切。しかし、ただ単に横になって身体を休ませるだけでは、十分なストレス解消にはならないという人もいるでしょう。実は、休憩や休日の過ごし方次第で、休憩や休日を取ることによるストレス解消効果が増大するのです。

厚生労働白書によると、健康管理のために積極的にやっていること、特に注意を払っていること、生活習慣に気をつけていることとして「過労に注意し、睡眠・休養を十分に取るように心がけている」と回答した人が5割以上いて、最も多い健康管理の方法となっています。

また、不安や悩みを感じるときの行動についても「のんびりとする時間を取る」と回答した人が年齢や性別を問わず最も多くなっています。若い年代では「寝てしまう」、「ごろ寝で過ごす」と回答した人も多く、ごろごろして積極的に身体を休めることは多くの日本人がすでに行っている健康管理の方法であるといえます。

ただし、休日とはいえ明るい日中にずっと寝て過ごすことは、身体的な疲労感は回復するとしても精神的ストレスの軽減にはつながらない可能性があります。一方で「せっかくの休みなんだから」と夜更かしをしてしまって生活リズムが乱れるとストレスが残ることもあります。まずは生活リズムを乱さないように、午後遅い時間の長い昼寝は避ける、睡眠薬代わりの寝酒はしない、就寝前にはテレビやスマートフォンといった刺激物を避けるなど、良質の睡眠を取れるようにしましょう。

精神的な疲労感を回復させるためには、身体を休めると同時に心をリフレッシュする必要もあります。適度な運動を行った後に休息をとる、ゆっくりと過ごしながら人と会話する時間を作る、寝る時間を決めて自分のプライベートの時間を作るなど、質の高い休息の時間を取るように意識しましょう。

75046

<参考文献>

■行動医学研究
『ストレスはどのように健康を左右するのか:その心理社会生物学的メカニズム』

■うつ病 こころとからだ
『こころとからだの症状』

■厚生労働省
『厚生労働白書』

■厚生労働省 中央労働災害防止協会
『こころの健康 気づきのヒント集』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

休憩や休日をしっかり取ってストレスを解消していない人は、週に1回以上、体調不良になりやすくなるリスクが3.49倍になります。

A: 休憩や休日をしっかり取ってストレスを解消していますか?
B: 週に1回以上、体調不良になりますか?

A
はい いいえ
67.9%
248人
32.1%
117人
B
はい いいえ はい いいえ
7.67%
28人
60.27%
220人
9.86%
36人
22.19%
81人
Z検定値 4.57
オッズ比 3.49
信頼度 99.9%
集計数:365人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

関連記事

広告

my healthyは書籍や論文から集めた約28万通りの健康法を統計で厳選して、定期的に発信しています。