インスタント食品は逆流性食道炎の一因に
リスク
2.64倍

インスタント食品は逆流性食道炎の一因に

インスタント食品を食べないようにしていない人は、逆流性食道炎になりやすくなるリスクが2.64倍になります。

解説

日本人の逆流性食道炎が増えた理由

逆流性食道炎とは、食べ物や胃酸が逆流して起きる食道炎です。もともと、食道は胃酸に触れるようにできているわけではないため、胃酸に耐えられるつくりにはなっていません。しかし、お腹いっぱいに食べたり、食べた後すぐに寝転がったりして、胃の入り口が緩むと、胃の中のものが食道の方に逆流して、食道の粘膜が胃酸に触れることになります。

もともと、日本人の食事には野菜が多く、肉食の欧米人と比較して、胃酸はそれほど分泌されなかったといわれています。そのため、一昔前では、逆流性食道炎は日本人にあまりみられない病気でした。しかし、食生活が欧米化し、肉や消化の悪い食べ物が増えたことにより、胃酸の分泌量が増え、日本でも逆流性食道炎の患者が増加してきているのです。

逆流性食道炎は、まれに食道がんへとつながることがありますが、基本的にはそれほど重症にならない病気です。とはいえ、逆流性食道炎の症状があると、日常生活にも支障が出てしまいます。胸やけやのどの違和感、ときには咳が続くことがあり、仕事や勉強に集中できず困っている人が多いのです。

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インスタント食品が胃の負担を増やす

逆流性食道炎の人の食事は、「消化の良いもの」「胃に刺激を与えないもの」が基本です。では、インスタント食品を食べると、なぜ逆流性食道炎になりやすくなるのでしょうか?

インスタント食品には、見た目や保存性を高めるために、さまざまな添加物が使用されています。これらの添加物の中には、胃に刺激を与えて胃酸の分泌を促すものもあります。また、インスタント食品の代表であるカップラーメンには、お湯を入れるだけですぐに食べられるように麺を油で揚げている製法のものが多くあります。油は胃の中で消化しにくいため、インスタント食品をとると食べ物がいつも以上に胃に残る可能性があります。

胃は、食べ物が入っている間は消化を続けるため、食べ物が胃に長くとどまっていると、いつも以上に胃酸が分泌されます。これが食道まで胃酸が逆流してくる原因になるのです。ですから、もし胸やけや胃もたれといった症状で困っているのなら、まずはインスタント食品を減らしてみましょう。

そして、逆流性食道炎を防ぐには、「食べ過ぎない」「食べた後すぐに寝転がらない」などといった点に注意し、生活習慣を見直しましょう。すでに逆流性食道炎の症状がある人は、病院を受診して胃カメラで食道炎の程度を診てもらい、必要があれば薬を服用しましょう。いずれにせよ、インスタント食品の摂取が多い人は、食生活を見直し、逆流性食道炎の治療や再発予防につなげましょう。

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<参考文献>
■日本消化器病学会
『食道炎ってどんな病気?』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

インスタント食品を食べないようにしていない人は、逆流性食道炎になりやすくなるリスクが2.64倍になります。

A: インスタント食品をあまり食べないようにしていますか?
B: 逆流性食道炎になった事はありますか?

A
はい いいえ
49.2%
152人
50.8%
157人
B
はい いいえ はい いいえ
3.88%
12人
45.31%
140人
9.39%
29人
41.42%
128人
Z検定値 2.74
オッズ比 2.64
信頼度 99.3%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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