解説
ニンニクのにおい成分がダイエットに効果的
ニンニクは身体にいいとわかっていても、やっぱり気になるのはあのにおい。ですが、あのにおいが実は身体にいい成分そのものなのです。その名を“アリシン”といいます。アリシンは殺菌効果や抗酸化作用、がん予防にも効果がある優れた成分ですが、ダイエットにも効果があります。
アリシンはたんぱく質と一緒に摂取すると男性ホルモンである“テストステロン”を増やします。男性ホルモンとはいいますが、男性だけではなくて女性にも分泌され、筋肉を増やす効果があります。筋肉が増えると代謝がアップして太りにくい体質になります。
さらにアリシンはビタミンB1の効果を高める働きがあります。ビタミンB1は糖質の代謝に関係し、糖質をエネルギーに変換する効果があります。しかしビタミンB1は水に溶けやすいので、簡単に汗や尿に溶けて体内から排出されてしまいます。アリシンはこの水溶性のビタミンB1と結びついて排出されにくい形に変えるので、ビタミンB1の効果を長く保つことができるのです。
さらに、ビタミンB1+アリシンはダイエットに関係するホルモンの分泌を促してくれます。このホルモンは余分なエネルギーを燃焼する“褐色脂肪細胞(かっしょくしぼうさいぼう)”を活発にします。つまり食べ過ぎたカロリーを消費してくれるので太りにくくなるのですね。
さらにさらにアリシンは加熱すると、成分が変化します。変化したアリシンには毛細血管を拡張してくれるので、身体のすみずみまで血流が届くようになる上に、新陳代謝を活性化して脂肪を分解する効果もあります。
つまり、ニンニクのアリシンはそのままでも、そしてビタミンB1と結びついたり加熱によって変化した形でもダイエットに役立つのです。

ニンニクを食べるときの注意点
とはいえ、ニンニクを日常的に取るためには、におい対策が不可欠です。しかし、におい対策でアリシンの効果が減ってしまってはもったいないですよね。アリシンの効果が減らないようなにおい対策をしたいものです。
ニンニクのにおいは、胃から出てくるにおいだけではありません。吸収された成分が体内で変化して、よりにおいの強い成分となり、汗や息からも出てくるのです。これらのにおいには、どのような対策が効果的なのでしょうか。
アリシンは、たんぱく質と結びつきやすいという特徴があります。この特徴を利用して、にんにくを食べる前に牛乳を飲んでおいたり、一緒に食べるものにたんぱく質の多いものを取り入れたりすると、にんにくのにおいを抑えることができます。
また、ダイエットにいいからといってニンニクをとり過ぎると、胃腸を痛めたり、貧血になったりといった体調不良を引き起こします。1日に食べる量は生で1片、加熱するなら3片までにしておきましょう。

<参考文献>
■生活衛生
『ニンニク』
■農畜産業振興機構 野菜情報
『にんにくの需給動向 』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、ニンニクを食べていない人は、標準体重を上回りやすくなるリスクが1.63倍になります。
A: 週に1回以上、ニンニクを食べていますか?
B: 標準体重を上回っていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
36.7%
219人 |
63.3%
378人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
10.39%
62人 |
26.3%
157人 |
24.79%
148人 |
38.53%
230人 |
Z検定値 | 2.67 |
---|---|
オッズ比 | 1.63 |
信頼度 | 99.2% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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