解説
夜、ふとんに入っても寝付けなかったり、しっかり寝たはずなのに昼間に眠気を感じたり…。こんな不眠の悩みは、食生活が深く関わっていることがあります。また、病気とつながっている可能性もあるんです。
糖尿病の患者さんのうち、半数の人が不眠の悩みを抱えているといわれています。不眠が原因で血糖値が上昇してしまうこともあるといい、睡眠の改善によって症状が改善した例も多いのです。糖尿病の場合、血糖値の上昇を抑えてくれて腸の健康にも大切な食物繊維を、普段からたくさんにとっておきたいものですね。
食物繊維は1日で成人男性なら20g、成人女性なら18gとることが目標とされています。それでは、食べられる部分100gあたりの食物繊維量ランキングです!
1位…ラッキョウ(約20g)
2位…ごぼう、モロヘイヤ(約6g)
3位…ブロッコリー、菜の花(約4g)
4位…春菊、空芯菜(3g以上)
5位…こんにゃく、水菜(3g)
どの野菜をどのくらい食べれば1日の目標値に近づくのか、参考にしてくださいね。
ほかにも不眠の原因として、胃の痛みやお腹が張った感じ、胃もたれなどがひんぱんに起きる症状があります。こんな場合は油っこいものを避けて、普段から胃腸を守る野菜を豊富にとり入れておきたいものですね。
胃腸を守ってくれる野菜をリストアップしてみましょう。根菜では、大根やカブ、山芋に含まれる消化酵素“ジアスターゼ”が有名ですね。ジアスターゼは熱に弱いので、おろしなど生で食べるのがおすすめ。レンコンのぬめり成分の“ムチン”や、ビタミンB1、ビタミンB2も胃腸を守ってくれます。玉ねぎのツンとくる香り成分“アリシン”は、ビタミンB1の吸収を助けてくれるので疲労回復に有効です。

野菜ではキャベツに豊富なビタミンCが胃腸の粘膜を保護してくれます。菜の花もビタミンCが豊富で、同じ仲間の小松菜や大根の葉よりも多いんです。チンゲン菜はビタミンA、βカロテン、カルシウムが豊富です。ハーブの仲間でブームになっている“パクチー”は胃腸の働きを高めるといわれています。
もうひとつ、夜間にトイレのために起きる回数が多いと、これも不眠の原因になりますよね。食塩を取り過ぎると、夜間の尿の量が増すという研究結果があります。これを改善するには、カリウムをしっかりとって塩分の排出を助けることが大切です。
カリウムが多い根菜といえばカブ。カリウムは水に溶けやすいので、汁ごと食べられる味噌汁やコンソメ煮、治部煮などがおすすめです。同じようにカリウムの多いニンジン、れんこんやごぼうをたっぷり入れた根菜スープもいいですね。山芋はおろしや千切りなどの生食が効果的です。
葉物野菜では、白菜を鍋物で汁ごと食べるのがいいですね。ほうれん草はレンジゆでがカリウムを守れるのでおすすめ。わさび菜はカリウムが豊富なからし菜の仲間で、サラダで食べられるのでカリウムの損失を減らせる優秀野菜。同じように水菜もサラダでおなじみですね。春菊は鍋物に、ニラもおすすめです。
不眠の悩みにはいろいろな原因がありますが、食生活で改善することもできるのですね。かしこく食べて快適にぐっすり眠りましょう。

<参考文献>
■白鳥早奈英、板木利隆監修 高橋書店
『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
■長崎大学病院
『食塩摂取量と夜間頻尿の関連性を明らかに 泌尿器科・腎移植外科 助教 松尾朋博医師が学会賞を受賞』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、根菜や野菜を食べていない人は、不眠に悩むリスクが4.99倍になります。
A: 月に1回以上、根菜や野菜を食べていますか?
B: 不眠の悩みはありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
96.1%
297人 |
3.9%
12人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
27.51%
85人 |
68.61%
212人 |
2.59%
8人 |
1.29%
4人 |
Z検定値 | 2.82 |
---|---|
オッズ比 | 4.99 |
信頼度 | 99.5% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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