納豆で下痢に強い腸を作る!
リスク
1.78倍

納豆で下痢に強い腸を作る!

週に1回以上、納豆を食べていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが1.78倍になります。

解説

腸内細菌のバランスの乱れが下痢を引き起こす

お腹の調子が悪くて、大事な仕事や試験に集中できなかったという経験を持つ人も少なくないでしょう。特に下痢は腹痛を伴うことも多いですし、トイレに行く回数も増えることもあり、日常生活に支障をきたす症状といっても過言ではないでしょう。それでは、下痢の原因にはどのようなものが考えられるのでしょうか。

大腸がんや潰瘍性大腸炎などといった腸の病気も下痢の原因の1つですが、このような病気に心当たりがない場合に起こる下痢の主な原因として、腸内細菌のバランスの変化が挙げられます。腸内細菌は人間の身体に及ぼす作用によって3つに分類されます。1つ目は腸の調子を整える働きをする“善玉菌”、2つ目は腸に悪影響を与える“悪玉菌”。そして3つ目は、普段は特に身体によい影響も悪い影響も与えない“日和見菌(ひよりみきん)”です。

腸内が健康なときには、善玉菌が正常に働くことができます。善玉菌は消化吸収を助ける、免疫力を高める、ビタミンを合成する、悪玉菌の働きを抑えるなど、腸から身体の調子を整えてくれます。

ところが、いったん腸の調子が悪くなると状況は一変します。例えば腸にウイルスが入り込むと、身体はウイルスを早く体外に追い出すために腸の水分を増やし、腸の中を洗い流します。これが下痢です。すると腸の中の善玉菌も洗い流されて、相対的に悪玉菌の割合が増えます。抑えきれなくなった悪玉菌が悪さをして腸の中のガスを増やしたり、毒素を産生してますます腸の状態は悪化するのです。

ここで重要なのが日和見菌です。実は、日和見菌は数が多い方の味方になるという特徴があります。さらに日和見菌は腸の中の75パーセントを占めているため、決して無視できる量ではありません。善玉菌が多い間は善玉菌の味方だった日和見菌は、善玉菌が減って悪玉菌の方が多くなると悪玉菌の味方になってしまいます。

下痢のときに病院を受診すると整腸剤が処方されますが、この整腸剤には腸に届くように加工された善玉菌が入っています。整腸剤を服用することは、腸の中の善玉菌を増やし、日和見菌を善玉菌の味方につけて、腸内環境を早く整える治療法なのです。ちなみに、抗生剤を飲むと下痢になることがあるのは、抗生剤によって腸の中の善玉菌が減ってしまうから。つまり、腸の健康はいかに善玉菌を増やすかといったポイントがカギとなるのです。

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腸の味方、納豆菌

下痢の予防には善玉菌を増やすことが重要です。整腸剤で腸の調子を整えるというのも1つの手段ですが、食品から善玉菌を取り入れることもできます。腸内の善玉菌を増やすことができる食材の代表格、それが納豆です。

大豆を納豆に変えてくれるのが“納豆菌”で、食品となった納豆にもこの納豆菌がいます。納豆菌そのものも善玉菌ですが、善玉菌の代表である乳酸菌も増やしてくれるという効果もあります。

納豆菌は十二指腸で増えるときに酸素を使いますから、酸素が苦手な乳酸菌が増えやすい環境へと腸を改善してくれます。実際に、納豆菌をとると乳酸菌が10倍程度に増えるということがわかっています。さらに、納豆の大豆は善玉菌のエサとなるオリゴ糖を含んでいます。つまり普段から納豆を食べることで、腸の中の善玉菌が増え、下痢になりにくい身体になるのです。

ただし、下痢になってしまったときに納豆を食べるのはおすすめできません。納豆の材料の大豆は消化しにくいので、下痢で胃腸が弱っているときにはお腹の負担になってしまいます。納豆は調子が悪くなってから食べるのではなく、普段から食べて下痢を予防するようにしましょう。

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<参考文献>
■大塚製薬
『代表的な腸内細菌』

■日本醸造協会誌
『Probioticとしての納豆菌の作用−腸内菌叢と腸管免疫システムに対する作用−』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

週に1回以上、納豆を食べていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが1.78倍になります。

A: 週に1回以上、納豆を食べていますか?
B: 週に1回以上、下痢になりますか?

A
はい いいえ
56.2%
346人
43.8%
270人
B
はい いいえ はい いいえ
7.63%
47人
48.54%
299人
9.58%
59人
34.25%
211人
Z検定値 2.7
オッズ比 1.78
信頼度 99.3%
集計数:616人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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