解説
腸を整えるには発酵食品がおすすめ!
発酵食品は、納豆、ヨーグルト、味噌、しょうゆ、漬物、麹、キムチ、ドイツのキャベツの漬物“ザワークラウト”、タイの魚のしょうゆ“ナムプラー”など、日本だけではなく世界中のいたるところにあり、それぞれの食生活に根付いています。日本では気温や湿度などが発酵食品を作るのに適していたこともあり、世界でも有数の発酵大国といわれています。
発酵食品とは、微生物の働きにより食品中の糖質、たんぱく質などが分解されて新たにできた、栄養価が高い食品のことをいいます。発酵することにより、旨みや風味が豊かになったり、保存性にも優れた食品に変化したりすることも発酵食品の特徴のひとつです。
ところで、“腸内フローラ”という言葉はご存じでしょうか?最近よく耳にする方も多いのではないかと思います。腸内にはさまざまな菌が存在し、その数はおおよそ600兆個以上といわれています。フローラとは花畑のこと。腸内に住んでいるたくさんの種類の細菌を花畑に見立てて、これを腸内フローラとよぶのです。
腸内では、悪玉菌、善玉菌、状況によって働きが変わる日和見菌(ひよりみきん)などの菌が腸内のバランスを保って人の健康を維持しています。しかし、そのバランスが崩れてしまうと、便秘や下痢、生活習慣病などの原因になる場合があるのです。
腸は人の免疫を司る最大の器官といわれています。免疫力をアップし風邪などの感染症を予防するには、腸内フローラを整えることが大切です。この腸内環境を良くしてくれる食品のひとつが、発酵食品であるといわれています。

腸をきれいにすることでダイエット効果が期待できる?!
発酵食品の力は、免疫力をアップさせるだけではありません。腸内をきれいにすることで、代謝があがり、痩せやすい体質にしてくれます。
『my healthy(マイヘルシー)』のアンケートでは、発酵食品を食べていない人は皮下脂肪が多くなるという結果となりました。身体にたまる脂肪は2種類あり、ひとつは、お腹の肉をつまむとつかめる脂肪で、“皮下脂肪”といい、女性につきやすい脂肪です。もうひとつは、“内臓脂肪”といわれ、内臓にたまる脂肪で男性につきやすい脂肪です。皮下脂肪の方が長年たまった脂肪が多く、内臓脂肪よりも実は、減らすのが大変ともいわれています。
発酵食品を定期的に食べることで、皮下脂肪が付くのを抑えたり、皮下脂肪を燃焼させたりするというダイエット効果が期待できます。例えば、納豆には、糖質の代謝に必要なビタミンB1、脂肪の代謝に必要なビタミンB2が含まれています。それだけでなく、納豆の大豆たんぱく質には脂肪燃焼を促進するホルモンを増やす作用があり、脂肪燃焼が期待できるといわれているのです。さらに、納豆にキムチを加えることで納豆菌がキムチの乳酸菌を増やし、腸内環境を良くしてくれます。さらには、キムチのトウガラシに含まれるカプサイシンの脂肪燃焼効果も期待できるので、納豆とキムチはダイエットにおすすめな組み合わせになります。
このように、発酵食品は単品で食べるだけでなく、組み合わせることでより美味しくダイエット向きのメニューになります。皮下脂肪が気になる人は、発酵食品を献立に取り入れてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
■日本発酵文化協会
『発酵とは』
■ビオフェルミン製薬
『「腸内フローラ」って、何?』
■全国納豆協同組合連合会
『納豆の健康効果』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べていない人は、皮下脂肪が多くなりやすくなるリスクが2.44倍になります。
A: 月に1回以上、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べていますか?
B: 皮下脂肪は多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
87.1%
269人 |
12.9%
40人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
31.07%
96人 |
55.99%
173人 |
7.44%
23人 |
5.5%
17人 |
Z検定値 | 2.65 |
---|---|
オッズ比 | 2.44 |
信頼度 | 99.1% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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