解説
エリンギの健康効果
エリンギは、ヨーロッパ原産のキノコの一種です。日本では1990年代に栽培できるようになり、よく食べられるようになりました。ほかのキノコに比べて“トレハロース”とよばれる糖が多く、甘味があります。食感と味があわびに似ているともいわれ、日本では“あわびたけ”とも呼ばれることがあるそうです。
エリンギには、食物繊維の中でもキノコ類に多い健康成分として注目されている“β-グルカン”や、ビタミンD、葉酸、カリウムなどのビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。食物繊維には、便秘の解消、腸内細菌のバランスを整える、などの効果を期待できます。サツマイモと比べると、エリンギには約2倍の食物繊維が含まれています。
人の腸の中には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と呼ばれる腸内細菌がバランスよく存在しています。しかし、ストレスや運動不足、食物繊維の少ない偏った食生活をしていると腸内細菌のバランスが崩れて、便秘や下痢を引き起こします。
食物繊維は善玉菌のえさになると考えられており、腸内環境を整えるためには野菜やキノコ、海藻類などの食物繊維を多く含む食品をとるようにするとよいといわれています。また、β-グルカンには免疫力を向上させる可能性があり、カリウムには身体の中の余分な塩分を排出する作用があります。他にも炎症を抑える効果や骨粗鬆症の改善効果、血液中のコレステロールの低下作用などを期待できるといわれています。

エリンギの食事への取り入れ方
エリンギは、くせがないためソテーやてんぷら、鍋やパスタの具材として活用できます。熱を加えても有効成分が失われにくいため、煮込み料理などにも取り入れやすい食材といえるでしょう。また、長い時間煮込んでも形が崩れにくい点からも使いやすいですね。
カサが内側に少し巻いていて、軸が太く弾力のあるもの、軸がきれいな白色をしているのが鮮度の良いエリンギです。エリンギは、水分が残っていると早く傷んでしまうので、水分を拭いてからラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存するとよいでしょう。できるだけ購入してから3、4日以内に使い切るようにしましょう。
一度に使い切れないときには、料理で使いやすいように切っておいて、冷凍保存しておくこともできます。さまざまなよい効果を期待できるエリンギは、さまざまな料理に使いやすい便利なきのこ。うまく食事に取り入れて、お腹の健康を維持したいものです。

<参考文献>
■日本家政学会誌
『消費者のきのこに対する意識調査と新規利用法の開発』
■高崎健康福祉大学紀要
『高脂血症に対するエリンギの薬理効果』
■林野庁 特用林産物の生産動向
『きのこ類』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、エリンギを食べていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが2.37倍になります。
A: 月に1回以上、エリンギを食べていますか?
B: 週に1回以上、下痢になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
49.5%
153人 |
50.5%
156人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
4.85%
15人 |
44.66%
138人 |
10.36%
32人 |
40.13%
124人 |
Z検定値 | 2.62 |
---|---|
オッズ比 | 2.37 |
信頼度 | 99.1% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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