“あぶら”の重みが腰を痛める!?
リスク
2.87倍

“あぶら”の重みが腰を痛める!?

揚げ物をよく食べている人は、腰痛になりやすくなるリスクが2.87倍になります。

解説

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“ぎっくり腰”って、怖い言葉ですね。ぎっくり腰は、正式な病名を“急性腰痛症”といい、つまりは急な腰痛。重いものを持ったり、急に腰の辺りをひねったりしたときに、突然強い痛みが起きて、数日は動かすこともできないといいます。

こんなつらい症状につながる腰痛ですが、背骨への負担をできるだけ軽減することで予防することができます。そのためには、背骨を支える筋肉の維持や腰の周りに蓄積する内臓脂肪を増やさないことが大切なんです。

揚げ物などの油ものをよく食べる人は、エネルギー過剰にもなりやすく、内臓脂肪が蓄積しやすくなります。腰まわりが大きく重くなると、背骨にも負担がかかるので、腰痛になりやすくなってしまいます。揚げ物をよく食べている人は、腰のためにも、揚げ物を少し控えてみてはいかがでしょう。

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腰痛の原因

人の背中と腰は、難しい言葉でいえば“脊柱”、早くいえば背骨によって支えられています。この背骨は横から見ると、まっすぐではなくS字形になっていることがわかります。背骨がこの形になっているのは、いろいろな衝撃に耐えられるようにするため。垂直であればあるほどポキっと折れやすく、重い頭や身体全体を支えることができなってしまうので、このような構造になっているんです。ビルの耐震構造に似ていますよね。

腰痛はこの背骨に負担がかかることが原因で起きやすくなります。背骨は骨だけでバランスを保っているわけではなく、周りの筋肉や脂肪、臓器などによってこのS字形をうまく保っています。“ぎっくり腰”という言葉はおなじみですが、これは重い荷物を持ち上げようとしたり、落としたものを拾おうとしたり、さまざまな場面で腰を曲げたときに急に起きてしまう腰痛のこと。ぎっくり腰の原因は、私たちの背骨のS字形が関係しているのです。

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背骨のバランス維持と腰痛予防

腰痛は、背骨のS字形を保つような身体のバランスを維持して、背骨への負担を軽くすることで予防することができますが、腰痛の中には病気が原因で起きるものもあります。たとえば、腰椎分離症などの遺伝的要因や泌尿器の病気、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科の病気、胆嚢炎や十二指腸潰瘍などの消化器の病気が腰痛の原因になります。こうした場合でも、何らかの炎症が起きて背骨のS字形のバランスが崩れるような影響が出ることで、腰に痛みが発生するのですね。

遺伝や病気が原因でない腰痛の場合は、背骨のS字形を保つために、背骨を支える筋肉をしっかり維持して腰の周りに内臓脂肪を増やしすぎないことが大切です。

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腰痛予防と肥満

揚げ物などの油ものをよく食べる人は、なんといってもエネルギーのとり過ぎになりやすいことが問題。内臓の周りに蓄積している脂肪を“内臓脂肪”といいますが、エネルギーをとり過ぎると、この内臓脂肪が増えやすくなります。内臓脂肪が増加すると、“腹囲”、いわゆる腰まわりが大きくなってしまいます。そして、腰まわりが大きくなると、その重みで背骨にも負担がかかってしまい、腰痛にもつながりやすくなるというわけです。

日本の“腰痛診療ガイドライン”によると、血液の中の脂質の数値が高い人は、足腰の痛みにつながりやすいそうです。中性脂肪や血中コレステロールの数値が高い人は、腰痛に注意が必要かもしれませんね。また、よく運動する習慣がある人は、腰痛が起きにくいといわれています。揚げ物をよく食べる人は、血液の中の脂質が増えやすいだけでなく、食べるのが好きで運動不足になりやすい、というところからも腰痛を引き寄せてしまうのかも?

腰痛予防には、腹筋や背筋をつけてよく身体を動かし、腰周りの筋肉を維持することが大切ですが、無駄な負担を減らすためには、内臓脂肪を減らしてあげることも大切です。揚げ物ばかり食べていると、内臓の周りに脂肪が蓄積し、背骨に負担がかかります。内臓脂肪の蓄積には要注意。揚げ物をよく食べている人は、腰をいたわって少し控えてみてはいかがでしょう。

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<参考文献>
■公益社団法人日本整形外科学会HP
『腰痛』

■厚生労働省 e-ヘルスネット
『内臓脂肪型肥満』

■日本整形外科学会/日本腰痛学会監修
『腰痛診療ガイドライン 2012』

執筆 : 管理栄養士キクチエミコ
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

揚げ物をよく食べている人は、腰痛になりやすくなるリスクが2.87倍になります。

A: 揚げ物を食べないようにしていますか?
B: 腰痛持ちですか?

A
はい いいえ
14.9%
46人
85.1%
263人
B
はい いいえ はい いいえ
2.59%
8人
12.3%
38人
32.04%
99人
53.07%
164人
Z検定値 2.66
オッズ比 2.87
信頼度 99.2%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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