解説
ストレスは胃痛の大きな原因になります。頭の手術を受けたり、ひどい火傷を負ったりなど、強いストレスにさらされた人は、胃痛や急性胃潰瘍になりやすいといわれています。これは、ストレスがかかると胃酸の分泌が増えて胃粘膜が傷ついてしまったり、胃粘膜の血流が低下し胃の修復が遅れてしまったりするからです。
また、胃粘膜にピロリ菌が感染していると、さらにストレスで胃痛を感じやすくなってしまいます。ピロリ菌は、50代では約4割の人が感染しているといわれていますので、他人事ではありませんね。
ストレス社会といわれる現代で、どのようにストレスを減らしたらよいのでしょうか?ひとつの方法は休憩や休養をしっかりとることです。たとえば、看護師を対象にした研究では、有給休暇の日数が多いほど、仕事のストレスを軽減させる可能性があると報告されています。
介護の現場でも、365日24時間続く介護ストレスから家族を守るために、患者を一時的に病院や施設で介護し、その間に介護者が休養をとることが勧められています。ゆっくり休みリラックスすることは、立派なストレスマネジメントなのです。
ただし、アルコールによるストレス発散は逆に胃の負担になってしまいます。休むときでもお酒はなし、またはほどほどにしましょうね。

<参考文献>
■日本消化器病学会
『患者さんと家族のための消化性潰瘍ガイドブック』
■久留米大学
『EBMに基づいた医療従事者におけるストレスマネージメントの効果・評価に関する検討』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
休憩や休日をしっかり取ってストレスを解消していない人は、月に1回以上、胃痛になるリスクが2.42倍になります。
A: 休憩や休日をしっかり取ってストレスを解消していますか?
B: 月に1回以上、胃痛になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
67.6%
209人 |
32.4%
100人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.0%
34人 |
56.63%
175人 |
10.36%
32人 |
22.01%
68人 |
Z検定値 | 3.16 |
---|---|
オッズ比 | 2.42 |
信頼度 | 99.8% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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