解説
咳の原因というと、風邪や気管支ぜんそくを頭にうかべる方が多いかもしれません。しかし、慢性的に乾いた咳が続く場合には心因性咳嗽(がいそう)と診断されることがあります。
心因性咳嗽とは、ストレスによって乾いた咳が長く続くことをさします。風邪などの咳は痰を伴うことが多いですが、心因性の場合にはほとんどありません。他にも咳の音が大きい、咳の大きさのわりに重症な印象はない、寝ている間には咳が出ない、などの特徴があります。
ストレスで咳が起きる原因の1つとして怒りが考えられます。怒りは、自分のおかれた状況に対して身構え、時には攻撃して身を守るためのきっかけになる感情です。しかし、怒ると、身体のバランスを整える自律神経のうち、交感神経が優位になります。交感神経が優位な状態が続くと、身体も緊張し続けてしまうので、大きなストレスになる可能性があるんです。
怒りの感情は自分を守るために必要なこともあります。しかし、咳などのように身体に症状が出たり、周囲にも怒りっぽい人と捉えられてしまったりします。多くの場合、怒るのはマイナスですよね。怒りを誰かにぶつける前に、深呼吸して少し考えるアンガーコントロールを心がけてみましょう。
慢性的な咳の原因は、他にも風邪の後に咳だけが続く咳ぜんそく、高血圧に対する薬の副作用、アトピー性やタバコといった可能性があります。長く咳が続く場合には自分で判断せず、医療機関を受診した方がよいかもしれません。

<参考文献>
■日本咳嗽研究会
『咳について』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
怒りっぽい性格の人は、乾いた咳が出ることが多くなるリスクが4.72倍になります。
A: 自分はあまり怒りっぽくない性格だと思いますか?
B: 乾いた咳が出ることは多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
42.0%
121人 |
58.0%
167人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.08%
6人 |
39.93%
115人 |
11.46%
33人 |
46.53%
134人 |
Z検定値 | 3.62 |
---|---|
オッズ比 | 4.72 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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