解説
乾いた咳の原因
長く続く咳はやっかいな上に、ネックウォーマーや温かい飲み物などで喉を温めたり、他の人にうつさないためにマスクをしたりと、いつもより負担も多くなってしまいます。このような負担を減らすためにも、咳の種類と原因を知って、咳に対して適切な対処をほどこしましょう。
咳には2つのタイプがあります。ゴロゴロと痰のからむしめった咳を“湿性咳嗽(しっせいがいそう)”といい、コンコンと痰のない乾いた咳を“乾性咳嗽(かんせいがいそう)”といいます。乾いた咳が長く続く場合には、野菜や根菜をしっかり食べることをおすすめします。
乾いた咳の原因には、アトピーや咳ぜんそく、咽頭アレルギーなどがあります。つまり、乾いた咳はアレルギーが関係していることが多いため、アレルギー反応を抑える栄養素が効果的なのです。

咳に効果のある食べ物とは?
それでは、咳を抑える効果が期待できる食べ物には、何があるのでしょうか。咳を抑えるために民間療法でよく用いられている野菜として、大根が挙げられます。大根には炎症を抑える効果があるので、のどの粘膜が荒れているのをいち早く治してくれるのです。特に、大根をすりおろした汁を飲むと、素早くその効果を実感することができます。しかし、小さな子供の場合は、大根おろしの汁はうまく飲めないことも多いですね。そこで、大根を小さめにカットしてハチミツに漬け、大根の汁が出たところで液体の部分をお湯に溶いて飲んでみましょう。甘みがあるので、小さな子供でも大根の汁を飲みやすくなります。
冬においしい根菜であるレンコンには、アレルギー反応を引き起こす物質の1つである“IgE”を抑える効果があります。つまり、レンコンにはアレルギー反応を抑制する効果が期待できるというわけですね。レンコンも大根と同様にすりおろした汁をそのまま、もしくはハチミツで甘みをつけて飲むとよいでしょう。
ほかにも、クレソンには炎症を抑える効果や気管支を広げる効果があるため、咳がひどいときでも呼吸を楽にしてくれます。クレソンは「肉料理の付け合わせに1、2本」というイメージを持つ人も多いですが、たっぷり食べてもほろ苦くて美味しいものです。サラダやバター炒めなどで食べるのもおすすめですよ。

野菜のビタミンCとビタミンAが効く
乾いた咳に限らず、喉が弱い人におすすめの栄養素はビタミンCとビタミンAです。ビタミンCは免疫力を上げる栄養素で、風邪などから喉や肺を守ってくれます。これらの栄養素は、水に溶けやすく、汗や尿に溶けて体外に排出されやすいので、日常的に摂取する必要があります。
特に、タバコを吸う人は、タバコを吸わない人よりもビタミンCの消耗が激しく、ビタミンCが不足しがちになります。タバコを吸っている人は、ビタミンCを意識してとるようにしましょう。野菜は全般にビタミンCの多い食材ですが、特に多く含まれているのはゴーヤやパプリカ、ブロッコリーなどです。ブロッコリーの仲間のカリフラワーは、ゆでてもビタミンCが失われにくいので、こちらもしっかり食べたいですね。
ビタミンAは粘膜を強くする栄養素で、喉から風邪のウイルスが侵入するのを防いでくれます。ビタミンAを多く含む野菜はニンジンに代表される緑黄色野菜。ビタミンAは脂溶性なので、炒め物など油と一緒にとると効率的です。冬の季節、たっぷりの野菜で喉の健康を守りましょう。

<参考文献>
■日本薬理学雑誌
『喉頭アレルギーと咳嗽(花粉症を含めて)』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、根菜や野菜を食べていない人は、乾いた咳が出やすくなるリスクが2.77倍になります。
A: 週に1回以上、根菜や野菜を食べていますか?
B: 乾いた咳が出やすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
89.6%
277人 |
10.4%
32人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
14.24%
44人 |
75.4%
233人 |
3.56%
11人 |
6.8%
21人 |
Z検定値 | 2.59 |
---|---|
オッズ比 | 2.77 |
信頼度 | 99.0% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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