解説
「食べ過ぎちゃった!」ご飯やパン、麺類などの炭水化物や、甘い砂糖などに含まれる糖分(糖質)はおいしいので、ついとりすぎることがありますよね。炭水化物や糖分が余ると、肝臓で脂肪に変えられて身体にたくわえられていきます。肥満のもとになる体脂肪は食事でとった脂肪だけなく、糖分からも作られているのです。
ところで、緑黄色野菜は火を通してたっぷり食べられるものが多いですね。これは、炭水化物ばかり食べる習慣を防いでくれます。緑黄色野菜を食事の始めに食べると、血液中の糖である血糖値を調整する力が働きます。そして、急に増えた糖が、そのまま脂肪に変えられてしまわないようにしてくれるのです。
また、肝臓が中性脂肪を作りにくくする、身体によい油を“オメガ3脂肪酸”といいます。このオメガ3脂肪酸は魚の油に多く含まれています。緑黄色野菜とオメガ3脂肪酸。どちらも脂肪の増え方をおさえる働きがあります。緑黄色野菜と魚を一緒に食べるようにメニューを工夫して、ダブルの力で中性脂肪を減らしましょう。

余った糖分は体脂肪に変わる!
人の身体や脳が活動するために、大切なエネルギー源となるのがブドウ糖です。これがなくては何もできなくなってしまいます。そのため、いつでもブドウ糖を作れるように、肝臓や筋肉にはブドウ糖の元になるエネルギー源がたくわえられています。ですが、その量には限りがあります。そこで、身体はもっと保存しやすい形でエネルギーをとっておこうとします。これが脂肪です。
食事からとった脂肪が余れば、体脂肪としてたくわえられますね。そのほかにも、身体はある材料を元にして肝臓で脂肪をつくり、保存しておこうとします。それは、炭水化物と糖質。炭水化物はご飯やパン、糖質は甘い砂糖などに含まれます。ですから、脂肪、つまり油をできるだけ控える食事を続けても、炭水化物を必要以上にたくさん食べれば、体脂肪が増えていくのです。
身体の中にたくわえられている脂肪のことを中性脂肪といいます。中性脂肪は、いつもある程度の量が血液の中を移動しています。それが、肥満の状態になると、この血液の中の中性脂肪が多くなりすぎて、動脈硬化の原因となってしまうんです。

魚+緑黄色野菜のメニューで、中性脂肪を撃退!
中性脂肪を減らすためには、糖分をとりすぎないように減らすこと、食べた糖分が中性脂肪に変わりにくくすること、このふたつが大切です。赤や黄色、緑の色の濃い緑黄色野菜は、どちらにも有効な食べ物なのです。
小松菜やブロッコリー、アスパラガスやニンジン、ニラ、春菊。これらは、調理するとかさが減ってたっぷり食べられますよね。食べ応えがあって満足感を得やすく、「食べすぎちゃった!」を減らしてくれます。こうして、炭水化物ばかりでお腹をいっぱいにしてしまう食事の習慣を改善してくれます。
トマトやピーマン、クレソンや貝割れ大根などは生で食べておいしい緑黄色野菜ですね。サラダなどで食事の始めに食べやすい野菜です。これらは食物繊維をたくさん含んでいて、食事の始めに食べると血糖値が急に上がることを防いでくれます。
血糖値がいきなり上がると、インスリンが多く分泌されます。インスリンは、糖分を脂肪に変えてたくわえる働きをうながすホルモンです。その働きで脂肪が増えてしまいますから、それを防ぐためにも緑黄色野菜が大切なのです。それだけでなく、血糖値の急上昇とそれに続く急降下は“血糖値スパイク(グルコーススパイク)”といい、頭痛や眠気といった不調にもつながる困った症状なんです。
ところで、油の中には中性脂肪の増えすぎを防ぐ、身体によい油があります。魚に多く含まれる、“オメガ3脂肪酸”です。このオメガ3脂肪酸は、肝臓で中性脂肪が作られにくくする働きがあるのです。
これを活かして、魚+緑黄色野菜の組み合わせを工夫すれば、中性脂肪を効率的に減らすことができます。刺身サラダや、サワラなどの切り身と青菜の蒸し煮、アスパラガスやパプリカとサケの焼き浸しなどいかがでしょうか?おいしく食べて中性脂肪を撃退!肥満知らずの身体を作りましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『脂質異常症(実践・応用)』
■菱田明、佐々木敏監修 第一出版
『日本人の食事摂取基準 2015年版』
■香川芳子著、 監修 女子栄養大学出版部
『食品成分表2015』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、緑黄色野菜を食べていない人は、高中性脂肪と診断されるリスクが3.47倍になります。
A: 週に3回以上、緑黄色野菜を食べていますか?
B: 高中性脂肪と診断されたことはありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
75.7%
218人 |
24.3%
70人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
3.47%
10人 |
72.22%
208人 |
3.47%
10人 |
20.83%
60人 |
Z検定値 | 2.78 |
---|---|
オッズ比 | 3.47 |
信頼度 | 99.4% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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