朝のファーストフードで脳の働きがダウン?
リスク
2.33倍

朝のファーストフードで脳の働きがダウン?

朝食にファーストフードを食べないようにしていない人は、大事なときに、ミスが多くなるリスクが2.33倍になります。

解説

脳のパフォーマンスアップに効く脂肪とは?

入念に下調べして仕上げた大事な仕事の書類を提出するとき、しっかり勉強して試験に臨むとき。ここぞという大事なところで、ミスはしたくないですよね。ミスを防ぐ、つまり、肝心なときに脳のパフォーマンスを上げられるように、普段から食事にも気をつけておきたいものです。

脳のおよそ6割は脂質、つまり脂肪でできています。脳のパフォーマンスを良い状態で保つためには、この脂肪のとり方がカギになるのです。特に注目すべきなのは、“オメガ3系”“オメガ6系”といわれる2つの脂肪酸のバランスと、トランス脂肪酸です。

オメガ3系、オメガ6系脂肪酸は、体内で作ることができない脂肪であり、食べ物から摂取する必要があります。身体を維持するためにも脳が働くためにも必要な脂肪なのです。そして、オメガ3系とオメガ6系脂肪酸の取り方には理想のバランスがあり、オメガ3系とオメガ6系を1対4で摂取するのが望ましいのです。

脳の細胞では、オメガ3系脂肪酸は細胞膜を柔らかく、オメガ6系脂肪酸は細胞膜を硬くするという特徴があります。このバランスが崩れてオメガ6系が極端に多くなると、脳の細胞が硬くなり、栄養や酸素をとり込みにくくなってしまいます。これが脳のパフォーマンスを下げてしまう原因になるのですね。

そして、ファーストフードには、オメガ6系の脂肪酸の方が多く含まれています。このため、ファーストフードを食べる機会が多い人は、オメガ3系脂肪酸が不足しがちになります。

もう1つ気をつけたいのがトランス脂肪酸の量です。トランス脂肪酸は安価で保存がきくため、ファーストフードには多く使われています。ですが、トランス脂肪酸の摂取が多いと脳が小さくなったり、記憶が低下するといった報告があり、これもミスにつながりやすくなります。

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脳のガソリンは糖質

ファーストフードは栄養といっても、炭水化物(糖質)・たんぱく質・脂肪の3大栄養素のうち脂肪の割合が高くなっています。ですが、脳を活発に動かすために必要な栄養は、実は糖質(炭水化物)なのです。特に、朝は前日の夕食から時間が経っているため、1日の中でもっともエネルギーが少ない状態になります。朝ご飯のときに、脂肪ばかりでなく、きちんと脳のエネルギーとなる糖質(炭水化物)を摂取すれば、脳は午前からしっかり働くことができます。

車でたとえるならば、オメガ3系脂肪酸はエンジンを良い状態に保つのに必要な栄養であり、糖質は車を走らせるのに必要なガソリンだと考えることができます。脳は、糖質をためておくことはできません。朝ご飯にファーストフードのような脂肪の多い食事をとるのではなく、バランスの良い朝食をとることで、午前中から脳のパフォーマンスを高めることができるのです。

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<参考文献>
■サントリー健康情報レポート
『脳に大切なオメガ脂肪酸』

■厚生労働省 e-ヘルスネット
『ファストフードのエネルギー(カロリー)』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

朝食にファーストフードを食べないようにしていない人は、大事なときに、ミスが多くなるリスクが2.33倍になります。

A: 朝食にファーストフードを食べないようにしていますか?
B: 大事なときに、ミスが多い方ですか?

A
はい いいえ
76.7%
237人
23.3%
72人
B
はい いいえ はい いいえ
18.77%
58人
57.93%
179人
10.03%
31人
13.27%
41人
Z検定値 3.05
オッズ比 2.33
信頼度 99.7%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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