解説
「筋力」って何だろう?
「筋力」というと、重いものを持ち上げる能力のように感じますね。ただ、一瞬だけ強い力が出せても、すぐに疲れ果ててしまったり長時間にわたって身体を動かせなかったりするのでは、「筋力がある」といってもバランスに欠けてしまいます。
“瞬発力”や“持久力”を含む全体的な力を「行動体力」といいます。行動体力を高めることは、生活習慣病のリスクを少なくする効果があり、健康づくりにおいても重要といえます。
全身の持久力を高める運動は、呼吸・循環機能を高め、コレステロール代謝や糖質代謝を改善し、循環器疾患、呼吸器疾患、肥満の予防に役立ちます。また、筋力をつけることで身体を支える力がつき、腰痛などの予防にもつながります。

筋力アップするジョギングはどれくらい?
厚生労働省は、糖尿病、循環器疾患等、がん、ロコモティブシンドローム、認知症などのリスクを低減するための身体活動量アップの基準「健康づくりのための身体活動基準2013」を発表しています。この基準では、“メッツ”と呼ばれる身体活動の強さと、1週間あたりの運動時間を合わせて、必要な運動の量をはかることができます。
たとえば、全身持久力や筋力の向上、運動器の機能向上のためには、「4メッツの運動を、1回あたり 30分以上、週2日以上」行うことが最低限必要とされています。4メッツ程度の強さの運動とは、「自転車に乗る」「階段を上る」「速めに歩く」など。
ジョギングは、推奨されている4メッツの運動よりも運動量の多い身体活動とされています。ジョギングは7メッツ、ゆっくりとしたジョギングは6メッツとされています。ゆっくりとしたジョギングでも、20分でウォーキング40分と同じ運動量なのです。
短時間でも十分な運動量を達成できるジョギングは、筋力アップにつながる運動だと考えられます。ただし、体重が多い人は、急にジョギングを始めると膝や腰に負担がかかることもあります。まずはウォーキングから始めてステップアップしていきましょう。前後にストレッチをして、関節を柔らかくすることも大切です。

<参考文献>
■岸恭一他編 講談社サイエンティフィク
『運動生理学』
■厚生労働省
『「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」について』
執筆 : 管理栄養士キクチエミコ
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
1日に20分以上のジョギングを行っていない人は、筋力が衰えやすくなるリスクが7.0倍になります。
A: 1日に20分以上のジョギングをおこないますか?
B: 筋力が衰えていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
2.9%
9人 |
97.1%
300人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
0.65%
2人 |
2.27%
7人 |
64.72%
200人 |
32.36%
100人 |
Z検定値 | 2.76 |
---|---|
オッズ比 | 7.0 |
信頼度 | 99.4% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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