解説
口唇ヘルペスってどんな病気?
“口唇ヘルペス”は一度発症すると繰り返し現れることが多い、厄介な病気です。唇の周りがピリピリし始めて、その後小さな水ぶくれがあらわれます。口の端にできると大きく口を開けることもできませんし、水ぶくれが破れると食べ物や飲み物がしみて、痛くて食事の量が減ってしまうことも。
塗り薬や飲み薬などで治療をすれば、軽いうちに治ることもありますが、無治療では2週間もこの状態が続きます。口唇ヘルペスの原因になるヘルペスウイルスは身体から消えることはなく、普段は神経節に隠れていて、身体が弱ったときなどにまた同じ症状があらわれます。

卵のリジンがヘルペスウイルスの活動を抑制
『my healthy(マイヘルシー)』のアンケートでは、卵を月1回以上食べていない人は、口唇ヘルペスになりやすいという結果が出ました。卵はいろんな料理に使われている、たんぱく質を多く含む食材です。たんぱく質はさまざまな種類のアミノ酸がつながってできています。
実はヘルペスウイルスの活動には、ふたつのアミノ酸が関係しています。ひとつは“アルギニン”です。アルギニンは人にとって大切な栄養素ですが、じつはヘルペスウイルスもアルギニンによって活発になります。逆にヘルペスウイルスの活動を抑制するのが“リジン”です。つまり、リジンを積極的に摂取するとヘルペスウイルスが活動しにくくなるのです。
卵、特に卵白はリジンを多く含む食品ベスト10に入っています。そのほかに干した魚にもリジンが多く含まれているので、卵アレルギーで卵を食べることができない人は、煮干しや鰹節などを摂取してもよいでしょう。ただしリジンは、出汁をとったときに出汁がらに残ってしまうので、できれば煮干しや鰹節などを丸ごと食べる調理法がおすすめです。反対に、豚足やミミガーなどの豚の皮は、アルギニンを多く含む食品なのでおすすめできません。その他に、アルギニンは大豆にも多く含まれています。
実は卵白はアルギニンの含有量もトップ10に入っています。それでは意味がないのでは?と思われるかもしれませんが、アルギニンも本来は身体に大切な栄養素。アルギニンを可能な限り減らすというよりは、必要なアルギニンは摂取して、それを上回るリジンを摂取することを心がけるようにしましょう。ちなみに卵白100gに含まれるリジンは6100㎎、アルギニンは5000㎎です。

<参考文献>
■文部科学省
『食品成分データベース』
■日本皮膚科学会
『Q2単純疱疹はどういう病気ですか?』
■Trace Nutrients Resaerch
『削りぶしの抽出液におけるアミノ酸組成の比較検討』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、卵を食べていない人は、口唇ヘルペスができやすくなるリスクが7.77倍になります。
A: 月に1回以上、卵を食べていますか?
B: 口唇ヘルペスができやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
96.1%
297人 |
3.9%
12人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
8.09%
25人 |
88.03%
272人 |
1.62%
5人 |
2.27%
7人 |
Z検定値 | 3.81 |
---|---|
オッズ比 | 7.77 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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