解説
大人のあせもが増えている
「あせも」というと、子どもに多いというイメージがあるかもしれません。ですが、最近では大人のあせもが増えています。理由としては、猛暑や節電によって汗をかくことが多くなっていることが考えられています。
あせもは、医学的には“汗疹(かんしん)”とよばれ、3種類にわけられます。“紅色汗疹(こうしょくかんしん)”は、最もよく見られるタイプのもので、小さな赤いブツブツにかゆみを伴うものです。“水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)”は、赤みやかゆみはないものですが、皮膚の表面に1〜3ミリメートル程度の水ぶくれができます。水晶様汗疹は、皮膚の表面に近い部分に汗がたまってできているため、紅色汗疹より治りが早く、気付かないうちに治っていることもあります。
“深在性汗疹(しんざいせいかんしん)”は、日本では珍しく、皮膚の深い部分に汗がたまってできるものです。白く平らな皮膚のふくらみを認めることがあります。
あせもは汗疹という字のとおり、大量の汗をかいたときに、皮膚の中に汗がたまってしまうことによってできます。通常であれば、汗腺から分泌された汗は身体の表面にある穴から出ていきます。しかし、汗の量が多い場合には周囲の組織にもれてしまいます。すると水ぶくれや炎症を起こし、ときにかゆみを伴うようになるのです。

あせもの予防には緑黄色野菜や根菜が効果的
あせもはかゆみを伴う場合が多いため、爪でひっかくことによって皮膚に傷をつけてしまう可能性があります。皮膚に傷がつくと、そこから細菌が入って膿んでしまうこともあるので要注意!
あせもは、スキンケアや保湿クリーム、ステロイドの塗布薬などを塗ることで治療することが多いのですが、何よりもあせもができないように予防することが大切です。あせものできやすい場所は、頭、おでこ、首、肘の内側、膝の裏側など汗がたまりやすく、乾きにくい部分になります。
こうした部分は自分では見落としてしまいがちな場所なので、こまめに汗をふく、通気性の良い素材の服を選ぶ、帰宅後はすぐにシャワーを浴びる、などの対策がよいといわれています。
また、あせも予防に効果が期待できる食材もあるので、積極的にとるようにしてみるとよいかもしれません。具体的には、青魚や野菜です。
青魚には炎症を抑えるEPA、DHAとよばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、あせもの予防効果を期待できます。サバやサンマ、ブリなどが青魚の代表ですね。
野菜の中でも、緑黄色野菜にはビタミンA、C、Eが豊富に含まれており、あせもによる皮膚の炎症を防ぐ可能性があります。緑黄色野菜とは、ブロッコリーやホウレン草、カボチャ、ニンジンなど色の濃い野菜です。
また、根菜類であるゴボウは、コーヒーの健康成分としても知られる“クロロゲン酸”など炎症を抑える成分を含んでいます。さらに、汗を抑えたり、免疫力を高めたりする効果があると期待されています。
あせもが多い場合には、乳製品や肉類のとりすぎはあまりよくないとされています。根菜や野菜をたっぷり入れた毎日のバランスのよい食事は、あせも知らずの健康な皮膚を保つためにも大切ですね。

<参考文献>
■新宿駅前クリニック
『【新宿の皮膚科コラム】大人のあせも(汗疹)に気を付けて』
■おおしま皮膚科
『あせも(汗疹)』
■山本皮膚科医院
『夏のあせも対策』
■独立行政法人農畜産業振興機構
『野菜の栄養素と機能性成分』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、根菜や野菜を食べていない人は、人よりも汗疹(あせも)ができやすくなるリスクが5.18倍になります。
A: 月に1回以上、根菜や野菜を食べていますか?
B: 人よりも汗疹(あせも)ができやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
96.1%
297人 |
3.9%
12人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.65%
36人 |
84.47%
261人 |
1.62%
5人 |
2.27%
7人 |
Z検定値 | 2.96 |
---|---|
オッズ比 | 5.18 |
信頼度 | 99.6% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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