解説
ワキのにおいが出る仕組み
気になるワキのにおい。電車内など、人との距離が近くなるときには、特にドキドキしてしまいますね。ワキのにおいを抑えるためにはどうすればよいのでしょうか。
ワキのにおい対策を紹介する前に、ワキのにおいが発生する仕組みについて簡単に説明しましょう。ワキがにおう原因はいくつかありますが、その1つとして、皮脂膜が変化し、皮脂腺の中で脂肪酸が酸化するということが挙げられます。
皮脂膜は、汗と皮脂が混ざり合ってできた皮膚を覆う膜で、外界からの刺激や細菌の侵入から肌を守る働きをしています。この皮脂膜が壊れてしまうと、強いにおいを出す細菌が増殖しやすくなってしまうので、ワキがにおいやすくなってしまいます。
また、皮脂膜が壊れた状態が続くと、皮脂腺の中に“過酸化脂質”という物質が増え、脂肪酸の酸化を促します。これによって、いわゆる加齢臭のにおいの元である“ノネナール”など、ワキがにおう原因となる物質が作られてしまうのです。これらの“酸化”によるワキのにおいは、どのように対策すればよいのでしょうか。

ワキの匂いを防ぐ白ゴマの2つの成分
ワキのにおいの原因となる脂肪酸の酸化を防ぐためには、皮脂膜を守るための脂質と酸化を防ぐ抗酸化物質が重要です。この2つを兼ね備えている食材の1つがゴマです。
ワキのにおいの元は、脂質を材料として作られる脂肪酸やアルデヒドですが、まったく脂質をとらなければワキのにおいが改善するかというとそうではありません。必要な分の脂質をとらないと、皮膚を守るための皮質膜が作れなくなってしまうのです。
ですから、日常的に摂取する脂質に気をつける必要があります。そこでおすすめなのが、ゴマに含まれる不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は酸化されにくいのでにおいの元になりにくく、必要な量の脂質をとって皮脂膜を作ることができます。
また、ゴマには“ゴマリグナン”という抗酸化物質が含まれています。ゴマリグナンはゴマに含まれるリグナンという意味で、リグナンはポリフェノールの1種です。
実際にゴマに含まれるゴマリグナンには、有名な“セサミン”のほかに“セサミノール”“セサモール”“セサモリン”があります。さらにゴマには同じ抗酸化作用をもつビタミンEも含まれています。これらの抗酸化作用によって、皮脂腺の中で脂肪酸が酸化するのを防いでくれるのですね。ちなみに白ゴマは黒ゴマと比べるとセサミンが多く含まれています。

おすすめの白ゴマの摂取方法
白ゴマはそのまま摂取すると皮が硬く消化しにくいので、すって皮を壊して食べると効果的です。またゴマリグナンは火を通すことで、より抗酸化作用の強いセサモールになります。目安としては1日大さじ1杯程度のすりゴマを火を通して食べるようにしましょう。

<参考文献>
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)脂肪酸成分表編』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、白ゴマを食べていない人は、人よりもワキがにおいやすくなるリスクが2.2倍になります。
A: 月に1回以上、白ゴマを食べていますか?
B: 人よりもワキが匂いますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
59.9%
185人 |
40.1%
124人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.33%
35人 |
48.54%
150人 |
13.59%
42人 |
26.54%
82人 |
Z検定値 | 2.98 |
---|---|
オッズ比 | 2.2 |
信頼度 | 99.7% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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