解説
足のにおいが強くなる原因
足のにおい、密かに気にしている人も多いかもしれません。汗をかく夏はもちろん、ブーツなどを履いて足が蒸れやすい冬にも対策が必要です。専用のブラシやボディーソープで洗ったり、足専用のデオドラントスプレーをかけてみたりと、いろいろ対策グッズを試していることでしょう。
まず、足のにおいの原因は何でしょう?人の皮膚には汗を出す“汗腺”と、皮脂を分泌する“皮脂腺”があります。それぞれは本来ほとんどにおいがありません。しかし皮膚の上でこの汗と皮脂が混ざり、さらに皮膚の表面に存在する常在菌という細菌が作用すると、成分が変化してにおいの強い物質になるのです。
特に足は他の部位と比べて靴下や靴に覆われている時間が長く、温度が上がって汗をかき、蒸れるために、細菌も活発に活動してにおいは強くなります。そのため、足のにおいを抑えるには通気性の良い靴を履いたり、足の裏をこまめに洗うといったことも重要なのです。
通気性の良い靴を選んでいたり、足の裏をしっかり洗っているのに足のにおいが気になる、という人は、食べ物が関係している可能性があります。実は、足のにおいを悪化させる食べ物があるのです。
足のにおいを悪化させる食べ物といえば、動物性の脂肪やたんぱく質です。動物性の脂肪をたくさんとり過ぎると皮脂の分泌が増えてしまいます。また、動物性たんぱく質は植物性たんぱく質と比べて消化に時間がかかり、腸の中に残りやすくなります。たんぱく質は腸に存在する悪玉菌の大好物。そのため、動物性たんぱく質を多くとることは、悪玉菌を増やして腸内環境を悪化させ、ガスがクサくなる原因にもなります。さらに、腸の中で増えたガスの一部は血液の中に溶けだして、全身の体臭を強くしてしまうのです。
動物性の脂肪とたんぱく質の組み合わせといえば、肉の脂身たっぷりの焼き肉やバター焼き、ラードで揚げたとんかつやコロッケ、背脂をかけたラーメンなどがあります。どれも大好物という人は多いと思いますが、足のにおいが気になるときには控えたほうが良さそうです。

ポイントはかぼちゃのビタミンEと食物繊維
動物性の脂肪やたんぱく質を減らしても足のにおいが改善しない人は、かぼちゃを食事にとり入れてみましょう。かぼちゃが足のにおいを減らしてくれる理由は2つあります。1つはビタミンEによる抗酸化作用です。皮膚の表面で起きる皮脂の酸化は、においの一因になります。ビタミンEがもつ抗酸化作用はこの皮脂の酸化を防いで、においを抑えてくれます。
もう1つはかぼちゃに含まれる豊富な食物繊維です。実はかぼちゃの食物繊維は、同じく食物繊維が多いといわれるさつまいもよりも多いのです。食物繊維は善玉菌を増やして腸内環境を改善してくれます。
成人が1日に必要とする食物繊維の量は18〜20gです。しかし、実際の摂取量は若い世代では約12gといわれていて、毎日6gの食物繊維が不足している計算になります。これでは腸内環境が悪化しやすく、足のにおいも改善しにくいですね。かぼちゃ100g(小さいかぼちゃなら約8分の1個)に含まれる食物繊維は約3.5g。これで1日の不足分の半分を補うことができます。「いろいろ試したけれども足のにおいがまだ気になる!」という人は普段の食事にかぼちゃをとり入れてみましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『食物繊維の必要性と健康』
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、かぼちゃを食べていない人は、人よりも足がにおいやすくなるリスクが2.24倍になります。
A: 月に1回以上、かぼちゃを食べていますか?
B: 人よりも足が匂いますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
53.7%
166人 |
46.3%
143人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
6.8%
21人 |
46.93%
145人 |
11.33%
35人 |
34.95%
108人 |
Z検定値 | 2.69 |
---|---|
オッズ比 | 2.24 |
信頼度 | 99.2% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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