レモンで唾液の機能をリセット!
リスク
3.73倍

レモンで唾液の機能をリセット!

月に1回以上、レモンを食べていない人は、耳の奥が痛むことがおきやすくなるリスクが3.73倍になります。

解説

レモンのクエン酸が唾液腺を刺激する

『my healthy(マイヘルシー)』のアンケートでは、レモンを食べてないと耳の奥が痛みやすくなる、という結果となりました。「レモンや梅干しなどの酸っぱいものを“食べたら”、耳の奥や耳の下は痛くなるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれませんね。鋭いです!そこに今回のヒントがあります。つまりレモンと耳の奥は関係しているのです。

レモンや梅干しなどを食べるとどうなるでしょう?中には想像しただけで、口の中に唾液がたくさん湧いてきた人もいるでしょう。レモンや梅干しには、疲労回復に良いといわれているクエン酸がたくさん含まれています。しかし、クエン酸は歯にとっては実は大敵なのです。クエン酸はその名の通り、「酸」です。クエン酸は、口の中を虫歯菌が働きやすくなる酸性にしてしまう上に、歯の表面を少し溶かすので虫歯ができやすい環境を作ってしまうのです。また、虫歯菌が糖質から作りだした酸も虫歯の進行の原因になります。

しかし、いつまでも口の中の環境が虫歯菌の働きやすい酸性に維持されるわけではありません。食事をしてしばらくすると、唾液が多く分泌されます。唾液は食べ物や、虫歯菌によって酸性になった口の中を適度な状態に回復する効果があり、虫歯予防に一役買っているのです。

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唾液をしっかり出さないと反復性耳下腺炎になる可能性も

では、唾液はどこから分泌されるのでしょうか。唾液を作って分泌してい部分は口の周りに3つあります。その中でも、“耳下腺(じかせん)”は最も大きく、唾液を多く出す部分で、耳の前から上の奥歯の付近にあります。耳下腺の病気で有名なものは“おたふく風邪”ですね。おたふく風邪では、両方もしくは片方の頬が腫れます。この腫れている部分が耳下腺なのです。

おたふく風邪はウイルスの一種に感染することで起こりますが、似たような病気で“反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)”という病気があります。これも耳下腺が腫れるのですが、繰り返し起きるのが特徴です。小さな子供に多い病気ですが、大人でもなることがあります。耳下腺に炎症を起こして唾液の通り道が狭くなり、唾液がたまってまた炎症を起こす、というサイクルを繰り返しています。この病気になると、耳の奥が痛くなるのです。

人の身体は年をとるとだんだん唾液が出にくくなっていきます。そうでなくても、現代では柔らかくて食べやすく、あまり噛まなくてもよい食べ物がたくさんあります。固いものをよく噛んで唾液を出す必要がなくなってきているのですね。すると唾液の通り道をさかのぼって細菌が入り込みやすくなったり、唾液がたまりすぎたりして反復性耳下腺炎の原因になるのです。

そこで、レモンです。レモンを摂取すると唾液がたくさん出てくるため、唾液の通り道を洗い流してくれるのです。また、たまりがちな唾液を出してしまうことができるので、耳下腺炎の予防になるのです。

もし、「最近は柔らかい消化の良いものしか食べていないな」と思う人は、たまにレモンを食べて唾液を出す機能をリセットしておきましょう。ただ、耳下腺炎は30~40代の女性にも起きることがあり、またタバコが原因の病気とも関係があります。大きく腫れるなど明らかな症状があれば耳鼻咽喉科など医療機関を受診するようにしましょう。

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<参考文献>
■とりい歯科医院
『酸蝕症』

■滋賀県立成人病センター 病理診断教育支援機構
『2.唾液腺(頭頚部)』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

月に1回以上、レモンを食べていない人は、耳の奥が痛むことがおきやすくなるリスクが3.73倍になります。

A: 月に1回以上、レモンを食べていますか?
B: 耳の奥が痛むことはありますか?

A
はい いいえ
23.6%
73人
76.4%
236人
B
はい いいえ はい いいえ
1.29%
4人
22.33%
69人
13.59%
42人
62.78%
194人
Z検定値 2.58
オッズ比 3.73
信頼度 99.0%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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