解説
発酵食品ってなんだろう?
味噌、納豆、醤油、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品は、身体に良いというイメージがあると思います。ですが、「なんとなく」そう思っているけれど、理由はよくわからない…という部分もあるかもしれません。そこで、発酵食品の秘められたパワーを再認識してみましょう。発酵食品をもっと好きになり、毎日の食卓にのぼる回数も多くなることでしょう。
さて、発酵食品とはなんだろう?ということから考えてみましょう。発酵食品は、微生物の働きにより食品中の糖質やたんぱく質、でんぷんなどが分解されて新たにできた、栄養価が高い食品のことをいいます。発酵することにより、旨みや風味が豊かになったり、保存性にも優れた食品に変化することも特徴です。
日本では気温や湿度などが発酵食品を作る過程で適していたこともあり、世界でも有数の発酵大国といわれています。日本の長い歴史のなかで、さまざまな発酵食品が誕生してきました。納豆はその代表食品といえるでしょう。納豆は原料である大豆が納豆菌によって発酵してできる食品です。納豆は原料となる大豆よりも栄養価が高く、なかでも発酵過程で作られるナットウキナーゼは、血栓を溶かす作用があることから非常に注目を集めている成分です。
ナットウキナーゼは、動脈硬化などの生活習慣病を予防してくれますので、脂質検査で注意されている人は、納豆を食べる習慣をつけると良いでしょう。納豆が苦手な人は、同じく大豆から作られる発酵食品である味噌もおすすめです。味噌は納豆菌によって発酵してできるわけではありませんので、ナットウキナーゼは含まれませんが、納豆と同様にコレステロールの量を調節したり、高血圧になるのを防いでくれたりする効果があります。
また、味噌汁として調理することで、青菜などの野菜や海藻、豆腐などのたんぱく質を加えやすくなります。具だくさんの味噌汁にすれば、具材のに含まれるさまざまな栄養をプラスして摂取することもできますね。

まだまだある、発酵食品パワー!
発酵食品は納豆や味噌以外にもたくさんありますね。牛乳が乳酸菌によって発酵されてできたヨーグルトは、お腹の調子を整える作用をもつことでも有名な発酵食品です。しかし、整腸作用をもつ発酵食品はヨーグルトだけではありません。納豆や味噌など、どの発酵食品もお腹の調子を整える働きをする成分が含まれているのです。
人間の腸内にすんでいる細菌は、身体に良い影響を与える“善玉菌”、身体に悪い影響を与える“悪玉菌”、善玉菌でも悪玉菌でもなく、腸内の環境によってその働きを変化させる“日和見菌”の3種類に大きく分けることができます。健康なときには、善玉菌の働きによって腸内細菌のバランスが保たれており、腸内環境が整えられています。
しかし、食生活の乱れやストレスなどで腸内細菌のバランスが崩れると、悪玉菌とそれに味方する日和見菌の作用によって、便秘や下痢などといった症状が出てしまいます。また、腸は免疫を司る最大の器官でもあります。腸内環境の悪化によって免疫力が低下してしまうと、風邪などの感染症にかかりやすくなってしまいます。
腸内環境を良くするためには、善玉菌を増やすことが大切です。この善玉菌を増やしてくれるのが発酵食品です。例えば、ヨーグルトやキムチには善玉菌である乳酸菌が含まれています。納豆に含まれる納豆菌は乳酸菌を増やす作用もありますので、キムチ納豆もおすすめです。
また、食物繊維が多い食品と一緒に食べることで、善玉菌を増やすことができます。野菜や海藻、キノコなどの繊維が多い食品を一緒に食べて、発酵食品の効果をさらにアップさせましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『乳酸菌(にゅうさんきん)』
■日本農林規格協会
『これから見直すべき「発酵食品」の栄養価』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べていない人は、週に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが1.77倍になります。
A: 週に3回以上、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べていますか?
B: 週に1回以上、下痢になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
59.3%
366人 |
40.7%
251人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
8.27%
51人 |
51.05%
315人 |
9.08%
56人 |
31.6%
195人 |
Z検定値 | 2.7 |
---|---|
オッズ比 | 1.77 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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