解説
ニンジンに含まれるさまざまな栄養
体脂肪は一度増えるとなかなか減らせませんね。年齢が上がれば上がるほど代謝が落ちるので、ある程度は仕方のないことですが、「できれば簡単に減らしたい」と思うことも。そんなときには意識してニンジンを食事に取り入れていきましょう。
ニンジンは野菜ですから、食物繊維が多く含まれています。食物繊維は消化されず、胃や腸からも吸収されずに便になる成分です。つまり口から肛門まで通り抜ける途中で腸の掃除をしてくれます。
さらに食物繊維があることで、食べ物がお腹をゆっくり通っていくようになります。すると血糖値の上がり方がもゆるやかになります。食べ物が一気に腸に入ってくると、身体は急激な血糖値上昇にあわてて対応するため、たくさんのインスリンを分泌します。すると体脂肪になりやすい中性脂肪が増えやすくなるのです。ニンジンの食物繊維はこの急激な血糖値の上昇を防いでくれます。
また、ニンジンの色のもとになるβカロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAも脂肪細胞が増えないようにする働きがあります。
さらに、ニンジンにはビタミンB1とビタミンB2が含まれています。ビタミンB1は糖質の消費に欠かせません。またビタミンB2は取りすぎると体脂肪になってしまう3つの栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)をエネルギーに変える働きがあります。これらビタミンB群はお互いに作用し合って効果を発揮するため、1つでも欠けていれば効果は半減してしまうのです。
これらの成分は、もちろんほかの食物でも摂取することができます。しかしニンジンのすごいところは、ほかの食材を組み合わせなくても、こうした体脂肪に働くさまざまな成分を全て含んでいるところなのです。

ニンジンを食べる習慣をつけるには
では、ニンジンはどのように食べるとよいのでしょうか。基本的には生で食べるのも加熱して食べるのもよいでしょう。ただし、βカロテンの量は加熱すると増えるので、βカロテンを意識して取りたいときには、火を通したニンジンを選びましょう。またβカロテンは皮に近い部分に多く含まれているので、皮つきのまま、または皮をむく場合も薄めにしましょう。皮ごと柔らかく煮て、ミキサーにかけてなめらかにしたニンジンのポタージュなら、皮の食感も気になりません。
そのほか、皮ごと千切りしてさっと炒めたり、生で楽しみたいときには千切りをオリーブオイルと酢、塩コショウであえてサラダにしたり。和風にれんこんときんぴらにするのも美味しいですね。ダイエット中に甘いものは控えたいところですが、どうしても食べたいときは、すりおろしたニンジンをたっぷり入れて、自然な甘さを活かしたキャロットケーキはいかがでしょうか。
ニンジンは体脂肪が気になる人には嬉しい野菜。飽きずに継続してニンジンを食べられるよう、いろいろなレシピを試してみましょう。

<参考文献>
■AGE測定推進協会
『第5回 健康の大敵は高血糖とその持続によるAGEの蓄積』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、ニンジンを食べていない人は、体脂肪が標準を上回りやすくなるリスクが2.59倍になります。
A: 週に1回以上、ニンジンを食べていますか?
B: 体脂肪は、標準を上回っていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
75.7%
234人 |
24.3%
75人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
22.33%
69人 |
53.4%
165人 |
12.62%
39人 |
11.65%
36人 |
Z検定値 | 3.56 |
---|---|
オッズ比 | 2.59 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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