解説
βカロテンのさまざまな効果
緑黄色野菜であるニンジン。赤やオレンジ色がお皿の上を彩り、食欲を増してくれますね。子供のころには「ニンジンは身体に良いから、ちゃんと食べなさい!」といわれたこともあるかもしれません。「そういえば、最近ニンジンを食べていないな…」というときに、身体に良いものを食べ忘れていたと感じる人もいるでしょう。
あらためてニンジンの栄養について見直してみましょう。ニンジンに含まれる有名な栄養素には、赤やオレンジの色の元である“βカロテン(ベータカロテン)”があります。βカロテンはカロテンの1種で、同じグループにはトマトの栄養として知られる“リコピン”もあります。人は生活していると細胞が酸化し、そのために老化が進んだり、がんが発生しやすくなりますが、βカロテンにはこの酸化を抑える抗酸化作用があります。つまりニンジンの鮮やかな色はがんを予防し、老化を防ぐ効果があるのです。
また、βカロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAにもさまざまな効果があります。例えば粘膜を丈夫にする効果。粘膜は口やのど、胃や腸の内側に存在しますが、この粘膜が弱ってしまうと、吸い込んだ空気や食べ物と一緒に侵入する病原体をブロックできず、病気にかかりやすくなります。また、目の表面も粘膜で覆われています。ビタミンAが不足すると、目の粘膜が水分を保ちにくくなって目が乾きやすい状態(ドライアイ)になるので、目に傷がつきやすくなります。
さらに、ビタミンAは、光を感じる網膜の働きを助けるなど、視力を守る効果もあります。最近では少なくなっていますが、ビタミンAが不足すると暗い所で視力が低下する夜盲症(やもうしょう)になります。また、ビタミンAはビタミンB、D、Eの働きを助けるため、ビタミンAが不足すると他のビタミンの働きも悪くなってしまうのです。

βカロテンだけではない!ニンジンの豊富な栄養
ニンジンにはβカロテンだけではなく、カリウム、鉄、食物繊維なども含まれています。カリウムは塩分を排出することで身体の余分な水分を取り除き、血圧の上昇を防いでくれます。また、鉄は貧血を予防したり改善したりといった働きがありますし、食物繊維には便秘を予防したり血糖値の急激な上昇を防いでくれたりするといった効果があります。
ニンジンは根菜で日持ちする野菜ですが、水気が苦手です。ポリ袋に入っているものはすぐに袋から出し、水分を拭いて新聞紙など水分を吸ってくれる紙で包んで、立てて野菜室に入れておくと1週間ほど保存できます。さらに保存したいときには皮をむいてあらかじめカットし、冷凍庫に入れれば1か月程度保存ができます。この場合は解凍せずに凍ったまま加熱調理しましょう。

<参考文献>
■田中消化器科クリニック
『No.016 インフルエンザ対策の栄養素』
■JAグループ
『春・冬の旬野菜ニンジン』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、ニンジンを食べていない人は、人よりも健康状態に不安が起きやすくなるリスクが1.57倍になります。
A: 週に1回以上、ニンジンを食べていますか?
B: 人よりも健康状態に不安はありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
71.7%
579人 |
28.3%
229人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
29.83%
241人 |
41.83%
338人 |
14.98%
121人 |
13.37%
108人 |
Z検定値 | 2.89 |
---|---|
オッズ比 | 1.57 |
信頼度 | 99.6% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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