虫歯になりにくい食材はナッツ
リスク
2.1倍

虫歯になりにくい食材はナッツ

月に1回以上、ナッツ類を食べていない人は、人よりも虫歯になりやすくなるリスクが2.1倍になります。

解説

なぜナッツは虫歯になりにくいの?

虫歯は炭水化物(糖やでんぷん)が歯に残っている場合に発生します。これは、口の中に住んでいる虫歯菌が、炭水化物を栄養にして歯の表面を溶かす酸を作り出し、歯を守っているエナメル質を溶かしてしまうからです。ナッツの栄養はたんぱく質と身体に良い種類のオイル、そして食物繊維やビタミンE、葉酸、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのビタミンやミネラルが中心です。炭水化物はあまり含まれていません。

つまりナッツは炭水化物が少ない上に、現代人に不足しがちな栄養素をたくさん含んでいる、虫歯になりにくい食べ物なのです。考えてみれば、旧石器時代からヒトは木の実を食べて生活していたわけですから、ナッツの小さな1粒にいろんな栄養素が含まれていることは不思議ではありませんね。

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虫歯になってしまったら、フィチン酸に注意

ただし、一度虫歯になってしまったら、ナッツは気をつけなければならない食材になります。なぜなら、ナッツに含まれる“フィチン酸”は食べ物の中のカルシウムやリン、鉄や亜鉛などと結合して、これらの重要な栄養素を身体に吸収されにくくしてしまうからです。さらにフィチン酸は骨や歯からミネラルを奪う作用もあります。

食事をすると、一時的に歯からはリン酸やカルシウムなど歯を作る成分が溶け出していきます。しかしその後で再び唾液に含まれるリン酸やカルシウムを元に、歯の表面を作り直しているのです。歯磨き粉が「歯を修復する」とうたっているのは、この歯の表面を作り直す働きを助けるためです。歯の修復がきちんと毎回できていれば、虫歯になりにくくなります。しかし、フィチン酸を摂取してしまうと、ナッツに含まれている、虫歯を治す時期にも必要なカルシウムやリンを有効に利用できなくなってしまうのです。

では、虫歯になったらナッツは一切食べてはいけないのでしょうか?いえ、そうではありません。ナッツに工夫を加えることで、フィチン酸を少なくすることができます。その方法は発酵、もしくは発芽させることです。

ナッツを発酵させると、ナッツの中のフィチン酸を半分以下に減らすことができます。豆や玄米にもフィチン酸が含まれますが、たとえば大豆であれば発酵した大豆、つまり味噌や納豆がおすすめです。それだけでなく、納豆菌にはフィチン酸を分解する酵素があり、また発芽大豆もフィチン酸が少なくなっています。ナッツの場合は、水と塩に一定期間浸して発酵させ、乾燥した発酵ナッツが販売されています。ただ、できれば虫歯のない状態で普段からナッツを食べ、しっかり歯磨き。心配せずにナッツを楽しめる健康な歯を保ちましょう。

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<参考文献>
■日本植物生理学会 植物Q&A
『フィチン酸について』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

月に1回以上、ナッツ類を食べていない人は、人よりも虫歯になりやすくなるリスクが2.1倍になります。

A: 月に1回以上、ナッツ類を食べていますか?
B: 人よりも虫歯になりやすいですか?

A
はい いいえ
44.3%
137人
55.7%
172人
B
はい いいえ はい いいえ
9.39%
29人
34.95%
108人
20.06%
62人
35.6%
110人
Z検定値 2.85
オッズ比 2.1
信頼度 99.5%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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