解説

タバコを吸っていると痩せると思っている人も多いかもしれません。ですが、実はタバコを吸っている人は、30代以降に肥満になりやすいという報告があるんです。喫煙の習慣によって、高血圧症や血糖値が急に高くなる“血糖値スパイク”など、肥満と関連する病気のリスクも高くなります。
タバコを吸っている人は吸っていない人に比べて、太り始める年代が早くなる傾向もあるので、「タバコを吸っているせいで中年太りが早く来る」といえるかもしれません。
現在タバコを吸っていない人は、そのままタバコを吸わないことが肥満のリスクをひとつ減らすことになるんです。現在タバコを吸っている人は、吸っていた量が多いほど太りやすくなるので、できるだけ早く禁煙を始めることをオススメします!
とはいっても、禁煙は大変です。禁煙すると、ニコチンの禁断症状が数日続いて、不安やイライラ、疲労や肩こり、頭痛、咳、便秘などの症状を感じることがあります。
「身体がニコチンの悪影響から抜ければ治る」と考え、身体をいたわってあげましょう。どうしても吸いたい気持ちになったときは、水を飲むと数分間で収まりますので、水を飲む習慣をつけましょう。
禁煙薬というものもありますが、うつ症状のリスクもあるため、使用するときには医師の指導のもとで使用しましょう。

タバコを吸うことでは痩せない!
「タバコをやめると太る」という説がありますよね。タバコをやめたくない理由として、「太るから」という理由をあげる人も多いですし、タバコをやめたあとに体重が増えて「太ったので痩せるためにタバコを再開した」と、せっかく禁煙したのにまたタバコを吸い始めてしまう人も少なくありません。
「タバコをやめると体重が増える」という俗説はどこから来たのでしょうか?これは、禁煙すると胃の調子が良くなり、たくさん食事をとってしまったり、口寂しいのでついお菓子をつまんでしまうからといわれています。
実際に、国立循環器病研究センターの報告によれば禁煙後には平均で3kgほどの体重増加が見られるそうです。「タバコをやめたら結果的に太った」ということが実際にあるので、タバコをやめたせいで体重が増えてしまうと思っている人が多いんですね。
しかし、それは結果的に体重が増えてしまっただけで、実は禁煙が原因で太ったわけではないんです。タバコを吸う人はもともと禁煙前から食べすぎているケースが多く、肥満傾向の人が多いのだそうです。
禁煙はなかなか難しいので、「タバコをやめると太る」というのは、禁煙したくないための口実かもしれませんね。
実際に喫煙と肥満の関係はどうなのでしょうか?日本の病院が359人の男性を対象にした調査を行ったところ、タバコを吸っている人は、高血圧症や脂質異常症、血糖値や尿酸値が高いなど、肥満と関連のある病気を抱えている人が多いということがわかりました。そして、タバコを吸う人は吸わない人よりも、若い頃から肥満になる傾向があるそうです。
タバコを吸っているからといって、痩せるわけではないことがわかりますね!

ニコチンの禁断症状を乗り越えて肥満防止をしよう
30代以降になると、タバコを吸っていない人でも、筋力トレーニングなどの運動習慣がないと少しずつ筋肉量が減り、太りやすくなります。これがいわゆる中年太りですね。
実は、タバコを吸っている人のほうが若い年代で肥満になりやすいんです…タバコのせいで中年太りが早く来てしまっているのかもしれません!
イギリスの調査でも、タバコを吸っている人は30代以降になると太りやすいという報告があるんです。しかも、タバコを吸っていた量が多ければ多いほど、太りやすくなるリスクが高くなるようです。
肥満を防ぐためにも、タバコを吸っていない人は、そのままタバコを吸わないようにしましょう。現在タバコを吸っていて、これから禁煙をしようと思っている人は、できるだけ早く禁煙を始めたほうが、少しでも肥満になるリスクを減らすことができます。
タバコを吸うことがよくないことはわかっていても、なかなかタバコをやめることができない…禁煙はどうしてそんなに難しいのでしょうか?
その大きな原因に、タバコをやめた後にくるニコチンの禁断症状があります。とくに禁煙開始から数日は禁断症状が強く、不安を感じたりイライラしたり、人によっては頭痛や咳、便秘などの不調、ふらつきや肩こりを感じることもあるようです。
禁断症状を乗り切るのは大変ですが、これがずっと続くわけではありません。禁煙による一時的なものですので、「身体がニコチンの悪影響から抜け出せば治る」と思い、気持ちを切り替えましょう。

カフェインの入った飲み物は不安感を強め、寝つきを悪くしてしまうこともあるので、不安を感じやすい禁煙開始からしばらくの間はは控えるようにしましょうね。カフェイン入りの飲み物というとコーヒーを思い出すかもしれませんが、エナジードリンクにもかなりの量のカフェインが入っているので、こちらも注意が必要です。
頭痛には頭痛薬、便秘解消には食物繊維の多く入った野菜や果物など、不快症状を和らげるものは積極的に取り入れて、禁煙習慣に取り組んでいる身体をいたわってあげましょう。
「タバコが吸いたい!」と、どうしてもガマンができない気持ちになったときは、代わりのものを口にしてみてください。数分でタバコが吸いたい気持ちが収まってきます。
一番手軽で簡単な方法は、水を飲むことです。「タバコを吸いたくなったら、まず水を飲む!」という習慣をつけるために、水を持ち歩いて積極的に飲むようにしましょう。水を飲むことで、咳や便秘の改善にもなり一石二鳥です。
普段はガマンできても、お酒を飲むとタバコが吸いたくなってしまう、という方もいらっしゃいますよね。でも、そこでタバコを吸ってしまうと、せっかくの禁煙が台無しになってしまいます。ほんのちょっとだけ吸ってもいいかな?と思うその気持ちが、禁煙の大敵なんです。そんな場合は、確実に禁煙が成功するまでしばらくの間は、お酒の席では水を飲むようにすると良いそうですので、試してみてくださいね。
タバコをやめたいのに、どうしてもやめることができなかったり、禁煙をすることがつらくなってきた場合には、病院の中には、“禁煙外来”がある病院もあるので、相談してみるのもよいかもしれませんね。
禁煙外来では、タバコを美味しいと感じにくくする薬を処方してもらうこともできます。この薬は禁煙に伴ううつ症状を強めてしまうことがあるので、医師の指導のもとで使用し、何か症状が表れたときにはすぐに主治医に相談するようにしましょう。
肥満を予防し、さまざまな病気のリスクも減らすことができますので、タバコを吸う習慣のある方は、まよわず禁煙にチャレンジしてくださいね!

<参考文献>
■国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
『[18] たばこのやめ方』
■Journal of Atherosclerosis and Thrombosis アテローム性動脈硬化・血栓症ジャーナル
『Obesity and smoking: relationship with waist circumference and obesity-related disorders in men undergoing a health screening.』
■PLOS ONE
『Relationship between smoking and obesity: a cross-sectional study of 499,504 middle-aged adults in the UK general population.』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
タバコを吸っている人は、標準体重を上回るリスクが2.3倍になります。
A: あなたはタバコを吸わない人ですか?
B: 標準体重を上回っていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
81.3%
234人 |
18.8%
54人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
24.65%
71人 |
56.6%
163人 |
9.38%
27人 |
9.38%
27人 |
Z検定値 | 2.75 |
---|---|
オッズ比 | 2.3 |
信頼度 | 99.4% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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