タバコは周りの人まで胃腸炎リスクを高める
リスク
2.2倍

タバコは周りの人まで胃腸炎リスクを高める

タバコを吸う人は、年に1回以上、腹痛を伴う風邪を引きやすくなるリスクが2.2倍になります。

解説

お腹が痛くなる風邪や胃腸風邪と呼ばれたりする感染性胃腸炎。その代表は冬に流行するノロウイルスです。ノロウイルスは、ウイルスに感染した二枚貝を食べたり、感染性胃腸炎を発症した人と接触したりすることによって感染します。

よくあるのは、ノロウイルスによる胃腸炎を発症した人の吐いたものや便に触れた後、その手で食物を触ってしまい、ウイルスが口から侵入するケース。小さな子供が感染してしまい、吐いたものの後始末をした大人が続けて感染する場合などがこれにあたります。

それだけでなく、唾液にウイルスが含まれている場合、咳やくしゃみで唾液がばらまかれて起こる飛沫感染もあります。

タバコを吸う人は、この飛沫感染のリスクが高くなるのではないかと考えられます。なにしろ、狭く閉ざされた空間である喫煙所に喫煙者が集まるわけですから、中に感染した人がいれば至近距離で飛沫感染を起こしやすい環境になります。さらにタバコを吸っている間はマスクをはずすので、感染が予防できません。

さらに、タバコそのものが感染性胃腸炎のリスクを増やすという調査もあります。アメリカの報告では、そばにタバコを吸う人がいると、乳児が重い感染性胃腸炎を発症するリスクが2.5倍以上に高まるといいます。その理由には、ニコチンやタールが関係しているのではないかと考えられています。

ニコチンやタールで感染リスクが高まるのであれば、タバコを吸っている人のリスクも高くなる可能性があります。赤ちゃんも、自分自身をも感染性胃腸炎の危険にさらすタバコ。タバコをやめて、自分も周りの人も感染性胃腸炎から守りましょう。

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<参考文献>
■国立感染症研究所
『◆感染性胃腸炎』

■東京都感染症情報センター
『社会福祉施設等における感染症予防チェックリスト』

■Clinical Pediatrics
『Is Environmental Tobacco Smoke Exposure a Risk Factor for Acute Gastroenteritis in Young Children?』

執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

タバコを吸う人は、年に1回以上、腹痛を伴う風邪を引きやすくなるリスクが2.2倍になります。

A: あなたはタバコを吸わない人ですか?
B: 年に1回以上、腹痛を伴う風邪を引きますか?

A
はい いいえ
78.3%
242人
21.7%
67人
B
はい いいえ はい いいえ
14.24%
44人
64.08%
198人
7.12%
22人
14.56%
45人
Z検定値 2.59
オッズ比 2.2
信頼度 99.0%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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