解説

自分ではタバコを吸わないのに、周囲のタバコの煙を吸ってしまう“受動喫煙”。実は自分でタバコを吸うよりも受動喫煙の方がハイリスクといわれています。タバコの煙は、目がしみるような痛み、喉の痛みや咳、心拍数の増加や冷え性などにつながります。また、タバコの煙に含まれるニコチンで下痢が引き起こされることも。長期的には、肺がんなどのがんや気管支喘息の悪化、脳卒中、心筋梗塞や動脈硬化、糖尿病などの重大な病気のリスクが高まります。
受動喫煙では、タバコから出る煙(副流煙)と、喫煙者が吐き出した煙をダブルで吸うことになりますから、多くの煙を吸うことになってしいます。タバコの箱に書いてあるニコチンなどの量は喫煙者が吸っている煙を測定したものですが、副流煙についての記載はありません。
実際に測定してみると、副流煙の方がニコチンは4倍、タールは2倍多く含まれているという結果が出たこともあります。これが受動喫煙がハイリスクといわれる原因なのですね。
知らない間に病気リスクを高められてしまわないためにも、飲食店などの商業施設では、禁煙の場所を選ぶことが大切です。分煙の施設では「意味のある分煙」になっているかをチェックすると良いでしょう。
チェックポイントは3つ。1つめは、喫煙席と禁煙席の間が壁やパーテーションできっちり区切られているか?2つめは、間に適度な開口部があるか?そして3つめは、風が禁煙席から喫煙席の方向へと流れているかどうか?です。煙は風に乗って流れてきますので、風の流れが逆方向だと分煙の意味がありません。
フロアごとの分煙の場合は、喫煙席が上の階であることを確認しましょう。煙は上へ向かいますので、禁煙席が喫煙席よりも上の階になっている場合は、受動喫煙となってしまうのです。せっかくタバコを吸っていないのですから、ちょっとしたチェックで健康を守っていきましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『受動喫煙-他人の喫煙の影響』
■神奈川県
『神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)分煙に関する基本的考え方(案)』
執筆 : 麓加誉子
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
禁煙の場所を選ぶようにしていない人は、月に1回以上、下痢になりやすくなるリスクが2.03倍になります。
A: 禁煙の場所を選ぶようにしていますか?
B: 月に1回以上、下痢になりますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
73.5%
227人 |
26.5%
82人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
27.51%
85人 |
45.95%
142人 |
14.56%
45人 |
11.97%
37人 |
Z検定値 | 2.74 |
---|---|
オッズ比 | 2.03 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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