自律神経を整えて腸をトレーニング
リスク
2.54倍

自律神経を整えて腸をトレーニング

週に1回以上、汗をかくような運動をしていない人は、月に1回以上、便秘になりやすくなるリスクが2.54倍になります。

解説

便秘の改善には運動が大切

便秘の根本的な原因は、腸が動いて便を身体の外へ送り出す“ぜんどう運動”が弱まってしまうことにあります。もし、この運動が鈍ってしまうと、最悪の場合には腸のぜんどう運動が止まってしまい、“腸閉塞(ちょうへいそく)”という病気になってしまうことがあります。こうなってしまうと、医療機関を受診して治療しなくてはなりません。それでは適度に腸のぜんどう運動をコントロールするにはどうすればよいのでしょう?

ぜんどう運動は、内臓専門の筋肉が収縮したり弛緩したりすることによって起こります。ぜんどう運動が必要なときには、脳から「筋肉を動かしなさい」という指令が送られ、ぜんどう運動に関わる筋肉が収縮したり弛緩したりします。筋肉が収縮したり弛緩したりするという点では、足や手を動かすときのメカニズムと基本的には同じです。

ただし、手や足は「動け」と命令すればそのまま命令通りに動かすことができますが、内臓の筋肉はたとえば「腸を動かせ」と命令しても、思うようには動きません。ですから、内臓の筋肉を動かす場合には、動かす指令を伝える神経の働きを整えることが大切になってきます。そこで、食生活や運動習慣が関係してくるのです。

排泄ケアを専門とするNPO法人によると、便秘の改善方法として日頃の食生活を改善すること、規則的な排便の習慣をつけること、適度な運動をすることが大切だといいます。また、日本消化器病学会のガイドラインでは、ヨガや運動療法をすることで便秘の改善が認められたという研究報告を紹介しており、便秘を改善するために運動をすすめています。

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汗をかく運動で自律神経を整えましょう

内臓の働きに関係する神経を“自律神経”といいます。自律神経のうち、興奮・緊張しているときや運動をしているときなど、活動的な状態で主に働くのが交感神経です。いっぽう、安静にしているときや身体を休めて回復させるときなど、リラックスしている状態で主に働くのが副交感神経です。

交感神経と副交感神経はお互いにバランスを保ちながら、体内で生じるさまざまな生理的な変化をコントロールし、身体を常に適切な状態に保っているのです。食べ物を消化し、便として身体の外に出す活動も、この副交感神経が主に働くときに行われます。

自律神経を整える方法はさまざまありますが、汗をかく運動はその大切な方法のひとつ。運動中は交感神経が主に働きますが、運動の後にはリラックスして身体を休めようと、副交感神経が働き始めます。

つまり、まず運動して次に身体を休める、というメリハリをつけることで、副交感神経が働く状態を作り出すのです。すると、腸のぜんどう運動を起こす内臓の筋肉も鍛えることができます。ただし、あまりきつい運動をしてしまうと、交感神経が優位になりすぎてしまいます。汗をかく程度で、楽しくできる運動がおすすめ。ヨガやウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが最適です。

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<参考文献>
■服部一郎著、医学書院
『リハビリテーション技術全書』

■日本消化器病学会
『機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-過敏性腸症候群(IBS)』

■NPO法人日本コンチネンス協会
『コンチネンスケア』

執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

週に1回以上、汗をかくような運動をしていない人は、月に1回以上、便秘になりやすくなるリスクが2.54倍になります。

A: 週に1回以上、汗をかくような運動をしますか?
B: 月に1回以上、便秘になりますか?

A
はい いいえ
17.5%
54人
82.5%
255人
B
はい いいえ はい いいえ
4.53%
14人
12.94%
40人
38.83%
120人
43.69%
135人
Z検定値 2.85
オッズ比 2.54
信頼度 99.5%
集計数:309人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

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