解説
風邪で頭が痛くなるのはナゼ?
風邪のときに頭が痛くなるのはなぜでしょうか?それは、頭の血管が拡張するからです。鼻やのどから侵入したウイルスをやっつける働きを主に担うのは白血球です。白血球は血液中に含まれる成分ですので、白血球をたくさん頭へと届けるためには、血管を広げて脳に多くの血液が流れるようにしなければなりません。ところが、頭の血管が拡張すると血管の周囲にある神経を刺激してしまいます。この仕組みは、片頭痛が起きるときと同じで、ズキンズキンと耐え難い痛みが起きてしまうのですね。
この血管の拡張・収縮(伸び縮み)は、自律神経の働きによって調節されています。自律神経とは、内蔵や血管などの働きを調節している神経ですが、手足の筋肉のように自分の意思によって指令を出すことができません。たとえば「血管よ広がれ!」と命令しても、血管を広げることはできないのです。一方で、無意識的に自律神経が内蔵や血管などを調節しているからこそ、眠っている間でも血圧や心拍数など生きるための機能はうまく調節されているのです。

発酵食品で自律神経を整えよう
風邪を引いたときの頭痛は、緊急事態に対処するための身体の正常な反応です。普段から自律神経の働きが整うようにして、いざというときに素早く身体が反応し、速やかに風邪などの病気から回復できるようにしておきたいですね。
そこでおすすめなのが、発酵食品です。発酵食品には自律神経を整える効果があるのです。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。自律神経が整うとは、この交感神経と副交感神経がバランス良く働くということです。
発酵食品の特徴は、身体によい微生物の働きを利用できるということ。たとえば、チーズやヨーグルト、キムチ、味噌には乳酸菌が含まれています。乳酸菌の入った食品は、お腹の調子を整えることで自律神経を整えます。お腹の調子が良くないと腸の活動を調整する副交感神経が疲れてしまい、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
また、漬物や味噌、甘酒には、麹菌が含まれています。味噌は、ストレスがかかると高まりやすい交感神経を抑制して自律神経のバランスを整えるという報告があります。甘酒もストレスを和らげ、また食物繊維やオリゴ糖によって腸内環境を整えることで自律神経の働きを改善します。
納豆には、納豆菌の働きでビタミンの一種“パントテン酸(ビタミンB5)”が含まれています。パントテン酸は、ストレスに対処するときに必要なホルモンの生成に関わっていて、ストレスに強い身体へ整えることができます。また、パントテン酸が不足すると自律神経の乱れが起きやすいことも報告されています。
風邪をひいたときにひどい頭痛が起きやすい人は、普段から自律神経が乱れている可能性があります。普段から発酵食品を食事にとり入れて、風邪に負けない身体に整えていきましょう。

<参考文献>
■福岡医学雑誌
『味噌は自律神経バランスを整え圧負荷心肥大モデルにおける脳内ナトリウム感受性を軽減する』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、発酵食品を食べていない人は、年に1回以上、頭痛を伴う風邪を引きやすくなるリスクが1.84倍になります。
A: 週に3回以上、納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べていますか?
B: 年に1回以上、頭痛を伴う風邪を引きますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
54.7%
169人 |
45.3%
140人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
17.15%
53人 |
37.54%
116人 |
20.71%
64人 |
24.6%
76人 |
Z検定値 | 2.59 |
---|---|
オッズ比 | 1.84 |
信頼度 | 99.0% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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