解説
考え方も肌に影響する
ものごとに対する考え方は、肌の状態に影響を与えます。本当にそうかな?と思うかもしれませんが、幸せそうな人はきれいに見えるものです。人は気分によって身体にも変化が起きることがあるのです。
常にものごとを否定的に考えてしまうとすれば、精神的なストレスの影響が考えられます。強いストレスを受けると、内蔵や血管の働きを調節している自律神経のバランスが乱れてしまいます。自律神経のバランスが崩れて血管の働きが乱れると、血行が悪くなるのです。血液は、肌に栄養や酸素を届けて、皮膚の老廃物を回収してくれる大切な役割をしています。ストレスは、こうした肌の新陳代謝に必要な血流を乱れさせるため、肌の状態の悪化につながるというわけです。

ホルモンによる肌への影響
さらにいろいろと否定的に考えてしまう人は、将来に不安を感じて、悪いことが起きるかもしれないと心配してしまう「取越し苦労」が多いのかもしれません。不安を感じてあれこれと考えごとをしてしまうと寝付きにくくなりますが、睡眠不足は肌にはよくないのです。皮膚の細胞は眠っている間に細胞分裂をして生まれ変わります。この皮膚の生まれ変わりに関係しているのが、成長ホルモンです。
成長ホルモンは眠ってすぐ、深い眠りの時期である“ノンレム期”に大量に放出されます。ノンレム期では、脳も休んでいるので夢を見ずに眠っています。つまり、ぐっすり寝れないとノンレム期がしっかりとれないため成長ホルモンが分泌されず、皮膚の生まれ変わりがうまくできなくなってしまうのです。
もうひとつ、肌荒れに関係しているホルモンが男性ホルモンです。男性ホルモンは、その名の通り男性で多く分泌されるホルモンですが、女性でもある程度は分泌されています。この男性ホルモンは皮脂の分泌を増やす働きがあるため、男性ホルモンが過剰に分泌されるとニキビができやすくなります。
男性ホルモンの分泌には、ストレスを感じたときに分泌が増えるホルモンの一種“コルチゾール”が関係しています。つまりストレスがかかった状態ではコルチゾールが増え、その結果として男性ホルモンも増えることになります。そして皮脂が増えて、ニキビなどの肌荒れの症状がでやすくなるのです。
日常生活で起きることには、よい側面と悪い側面の両方があることが多いものです。たとえば、「新しい仕事を任された」というときには、「期待されている、評価されている」というよい側面もあれば、「初めてのことなので失敗するかもしれない」という悪い側面も考えられます。悪い側面ばかりを意識してしまうと緊張が解けず、ストレスホルモンも増えてしまいます。
こんなとき、否定的な考え方をする脳では、どちらかといえば悪いほうにとらえがちです。これは脳のクセなのです。これを改善するには、意識して「よいこと」を考えることが大切です。最初は少しこじつけに感じられるかもしれませんが、よいことを探すようにしましょう。たとえば料理を失敗してしまった、ということがあったとしても「失敗を元に経験を深めた」と考えたり、「自分で料理に取り組んだ」という努力を認めたりといったこともできます。繰り返しているとよいことを考えるクセがついてくるようになり、肌の状態もよくなりますよ。

<参考文献>
■赤松浩彦編 全日本病院出版会
『スキルアップ!ニキビ治療実践マニュアル』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
ものごとを肯定的に考えるようにしていない人は、人よりも肌が荒れやすくなるリスクが1.96倍になります。
A: ものごとを肯定的に考えるようにしていますか?
B: 人よりも肌が荒れやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
65.4%
202人 |
34.6%
107人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
17.15%
53人 |
48.22%
149人 |
14.24%
44人 |
20.39%
63人 |
Z検定値 | 2.68 |
---|---|
オッズ比 | 1.96 |
信頼度 | 99.2% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
>数値の見かたはこちら