解説
弁当・総菜市場は10兆円産業へ
忙しい日々の生活で、外食やコンビニなどで購入してきた食事をとる“中食”をする人も増えている現状があります。弁当や持ち帰り総菜などの中食市場の規模は年々拡大していて、2017年には10兆円を超えるとの予想もあります。
中食のメリットは、家事の時間や手間を減らせるということです。一方で、持ち帰って食べる食品は調理から食事までの時間が長く、傷みを防ぐために保存料や添加物を使わざるを得ないという面があります。また、細菌が増えないようにするには、ある程度は味を濃くして食塩の量を増やす必要もあり、高血圧などの原因にもなります。
総菜で人気の揚げ物ですが、油は時間の経過とともに酸化するので、老化の原因となる活性酸素の増加にもつながります。また、市販のお弁当は、野菜やキノコ類など食物繊維を含む食材が少ない場合もあり、摂取品目のバランスも崩れる可能性があります。

忙しい中にも手作りをプラス
健康を守るためにも、できるだけバランスのとれた手作りの料理を食べるようにしたいところです。とはいえ、忙しい中で中食を利用している人が、食事の用意に多くの時間を割くことは難しいでしょう。そこで、買ってきたものを食べるにしても、少し手を加えて手作りに近づけてみてはいかがでしょうか?
メインとなる肉の総菜を買ってきたときは、洗って手でちぎるだけの生野菜をプラス。味が濃いめの料理とともに野菜をとると、ドレッシングなどさらに塩分を追加しなくても意外とおいしく食べられます。レモン果汁やえごま油など食卓でかけても良いですね。
味噌汁は、鍋でたくさん作らなくても、カップにゆで野菜や海藻と出汁を入れ、味噌を加えれば、1人前を簡単に作ることができます。時間のあるときには、ニンジンやパプリカ、タマネギ、キュウリなど色とりどりの野菜をカットしてお酢をかけるだけのピクルスを作ったり、たっぷりのキノコを炒めてマリネにしたりといった作り置きをしておけば、普段の食事のときにはすぐ食べられます。
煮物など保存の利く料理を作り置きしておけば、手作りのお弁当のおかずにすることもできます。食材や調味料の種類や量を調整して、食品数が豊富で塩分控えめな手作りの料理やお弁当で健康を守りましょう。

<参考文献>
■日本抗加齢医学会専門医指導士認定委員会編 メジカルビュー社
『アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版』
■一般社団法人日本惣菜協会
『2017年版惣菜白書−ダイジェスト版−』
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『中食の選び方』
執筆 : 管理栄養士キクチエミコ
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、手作りの料理や弁当を食べていない人は、健康状態に不安を感じやすくなるリスクが3.6倍になります。
A: 週に1回以上、手作りの料理や弁当を食べていますか?
B: 健康状態に不安はありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
88.0%
272人 |
12.0%
37人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
40.78%
126人 |
47.25%
146人 |
9.06%
28人 |
2.91%
9人 |
Z検定値 | 3.35 |
---|---|
オッズ比 | 3.6 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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