解説
シジミが持つ目によい成分
テレビ、パソコン、スマホなど、現代では目を酷使することが多くなっています。疲れた目をいたわるよう、できるだけよいことはしてあげたいですね。そんなときはシジミを食べてみましょう。シジミには目によい成分がたくさん含まれているのです。
シジミに含まれる目によい成分のひとつが“タウリン”です。タウリンは肝臓によい成分として聞いたことがあるかもしれませんが、実は目にも有効なのです。特にタウリンを多く含んでいるのは、目の“網膜(もうまく)”という目に入ってきた光を信号に変えて、脳に届ける重要な部分です。この光を受け取る細胞に含まれているタウリンは、網膜の神経の働き過ぎを抑える働きをしています。それだけでなく、目の新陳代謝を促したり、紫外線による目の疲れを解消したり、加齢によって進みやすくなる水晶体の濁りを防いだりする効果などもあるのです。タウリンは体内ではほとんど合成できないため、食事からとる必要があります。
ふたつ目の成分は“オルニチン”です。オルニチンには成長ホルモンの分泌を促す作用があり、目の水分量を保つ効果が期待できます。目の内側には、透明なゼリー状の組織があり、その99%が水分でできています。目が潤っていないと、目の表面についたほこりを洗い流すことができません。エアコンをよく使う、まばたきの回数が少ないなど、目が乾きやすい人にはおススメの成分です。
そして、みっつ目の成分は目薬にも配合されているビタミンB12です。ビタミンB12には、神経に必要な成分を合成、修復する役割があり、目の網膜で受け取った情報を視神経を通して脳に届けるときに、情報伝達をスムーズにしてくれます。そのほかにも目の水晶体の厚みを調節してピントを合わせる筋肉の働きを整えてくれたり、目の粘膜を正常に保ったりする働きをしています。ビタミンB12が不足すると、角膜や結膜に炎症を起こしやすくなるので、不足しないように気をつけたいですね。

シジミなら過剰摂取の心配なし!
こうした目によい成分はサプリメントでもとることができます。ですが、とり過ぎに気をつけなければなりません。タウリンは過剰にとっても身体の外に排出されるため摂取の上限はありませんが、1日に3000㎎を超えて摂取すると、胃酸が増え過ぎて胃の痛みなどの症状が出る可能性があります。
オルニチンをとり過ぎると目に害がある可能性もあります。目にオルニチンを注射して濃度を上げたところ、網膜の一部が損傷を受けたという報告があります。オルニチンの1日の摂取の目安は400~1000㎎程度といわれています。
シジミを約35個分、100g食べたとしても、タウリンは身体に影響が出る量のおよそ100分の1、オルニチンは多くても30分の1程度です。ですから、シジミを食べてもとり過ぎの危険はほとんどないと考えてよいでしょう。サプリメントに頼らず、シジミを美味しく食べて目を守りましょう!

<参考文献>
■安井眼科
『眼のアンチエイジング』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、シジミを食べていない人は、目が悪くなるリスクが2.27倍になります。
A: 月に1回以上、シジミを食べていますか?
B: 目が悪いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
21.0%
65人 |
79.0%
244人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
11.65%
36人 |
9.39%
29人 |
58.25%
180人 |
20.71%
64人 |
Z検定値 | 2.87 |
---|---|
オッズ比 | 2.27 |
信頼度 | 99.5% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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