塩分控えめ食生活で関節の痛みを予防しよう
リスク
2.11倍

塩分控えめ食生活で関節の痛みを予防しよう

塩分を控えるようにしていない人は、腰や膝、関節が痛むリスクが2.11倍になります。

解説

58969

動くたびに痛みが走る関節痛。関節痛になってしまうと、ちょっとしたお出かけもおっくうに感じるようになってしまいますね。

関節痛はなぜ起きるのでしょうか?関節とは硬い骨と硬い骨の間の部分のことで、この部分にはクッションの役割を果たす軟骨があります。関節痛はこの軟骨がすり減り、硬い骨どうしが直接当たるようになるために生じる痛みのことなんです。

しかしこの関節痛、原因は何なのでしょうか。実は塩分の取り過ぎがひとつの原因だといわれています。軟骨が健康に保たれるにはカルシウムが必要なのですが、長期間にわたって塩分を取り過ぎると、身体の中のカルシウムが溶け出して塩分とともに排出されてしまうのです。

また、塩分の取り過ぎに加えて、タバコを吸う習慣があると、関節炎のひとつである関節リウマチという病気にかかってしまうことがあります。そのリスクは、塩分に気をつけていてタバコも吸っていない人と比べると2倍以上!特に30~40代の女性は、関節リウマチになる人が多いので注意したいですね。

日本人が塩分を取り過ぎる原因は、味噌汁や漬物などの塩分の多い食生活だと考えられてきました。しかし、最近ではこれらの食品に加えて、ハムやソーセージなどの加工食品やドレッシングなどの調味料から、塩分を取る機会が増えています。

まずは調味料を減らすところから、塩分控えめの食生活を目指して関節痛を予防しましょう。

58877

塩分の取り過ぎは、関節を守るカルシウムを奪う!

塩分の取り過ぎは、高血圧などの生活習慣病や、胃がんといった多くの病気を引き起こす原因として知られていますね。しかし、このような病気だけでなく、つらい関節の痛みの原因となる関節炎にも塩分の取り過ぎが関係していることがわかっています。

たとえば、太っている人やお年寄りに多い“変形性関節症”。変形性関節症は、硬い骨どうしの間の関節でクッションの役割を持つ軟骨がすり減ってしまい、関節の変形や痛みを感じる病気です。

軟骨は、コラーゲンなどのタンパク質やカルシウムを元としたやわらかい組織からできていて、硬い骨どうしが直接ぶつかるのを防いでくれています。つまり、コラーゲンやカルシウムといった軟骨の材料が不足すると、硬い骨どうしが直接ぶつかりあうので、痛みを感じるようになるのです。

身体の中のカルシウムの多くは、骨などにたくわえられていますが、塩分を取り過ぎると溶け出し、排出されてしまいます。いくら乳製品や小魚などを食べてカルシウムを補っても、塩分を取り過ぎる生活を続けている限り、塩分と一緒にどんどん流れ出てしまうのです。これでは軟骨の材料が確保できませんので、どんどん軟骨もすり減ってしまうのもうなずけます。

58786

塩分過剰+喫煙は関節症のリスクを高める

女性は特に、塩分の取り過ぎからくる関節症に注意が必要です。スウェーデンの大学の研究によると、30~40代の女性に多くみられる関節症、“関節リウマチ”は、タバコを吸う習慣があり、塩分の多い食品を取る食生活を送っている人では発症のリスクが2倍以上になるそうです。関節を守るためにも、女性は特に塩分の取り過ぎやタバコには気をつけたいですね。

日本人は塩分を取り過ぎている、とよく聞きますよね。では、その原因となる食品とは何なのでしょうか。

ぱっと思い浮かべるのは、日本の伝統的な料理である味噌汁や漬物だと思います。しかし、漬物から多く塩分を取っている人は全体の3%ほどで意外に少なく、ハムやソーセージなどの加工肉や、ドレッシングなどの調味料から塩分をたくさん取っているそうです。

塩分を手軽に減らすには、調味料の量を減らすことから始めましょう。特に、かけるタイプのたれやドレッシングなどは、容器に入っている量を全部使わなくても、意外とおいしく感じることが多いです。「この小袋のたれ、半分でも大丈夫かな?」と調整してみるところから、関節症予防の第一歩を踏み出しましょう。

58427

<参考文献>
■国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
『話題の食品成分の科学情報 カルシウム解説』

■ウメオ大学
『Interaction between dietary sodium and smoking increases the risk for rheumatoid arthritis: results from a nested case-control study.』

■栄養と料理 2016年3月号 女子栄養大学出版部
『漬物からは意外と少ない!?調査結果をご紹介 日本人はなにから塩をとっているか』

編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部


統計データ

塩分を控えるようにしていない人は、腰や膝、関節が痛むリスクが2.11倍になります。

A: 塩分を控えるようにしていますか?
B: 腰や膝、関節に痛みはありますか?

A
はい いいえ
50.7%
146人
49.3%
142人
B
はい いいえ はい いいえ
9.38%
27人
41.32%
119人
15.97%
46人
33.33%
96人
Z検定値 2.71
オッズ比 2.11
信頼度 99.3%
集計数:288人
  • ・オッズ比
    AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。
  • ・信頼度
    信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
    (統計学のZ検定を使用)
    >数値の見かたはこちら

関連記事

広告

my healthyは書籍や論文から集めた約28万通りの健康法を統計で厳選して、定期的に発信しています。