解説
日光に含まれる3つの光線刺激が与える健康への効果
日光浴は全身で心地よい暖かさを感じることが出来る健康法として、古くから世界中で行われています。そもそも日光にはどのような光線があるのでしょうか。太陽の光線には、目に見える光(可視光線)がおよそ半分、熱を感じる赤外線が40%、目に見えない紫外線などがおよそ6%の割合で含まれています。
日光に一番多い目に見える光が与える効果は、朝と夜のハッキリとした区別をつけることです。目覚めてすぐに太陽の光の刺激を体内に取り入れることで、体内時計の調節に効果を発揮します。夜になって適度に眠気を感じるためには、“セロトニン”と“メラトニン”というホルモンが体内で作られることが大切です。この2つのホルモンを作る働きは、朝に光を感じると適切に始まるようになります。光を感じることで体内時計の調節が上手くいくようになり、ホルモンバランスが適度に整えられて良質な睡眠をとって身体の健康を維持しやすくなる、というわけです。
赤外線が与える効果は、ぽかぽかと心地良い温熱刺激が全身のすみずみまで行き渡ることです。健康を保つための基本として大切なことは、冷えにくい身体づくりをすることです。1日1回、太陽の暖かさを感じて身体の芯まで温めましょう。さらに、屋外にいると肌で風を感じたり、視覚や嗅覚、聴覚で四季折々を感じることで心身のリラクゼーション効果も期待できます。ゆっくりと深呼吸をして日光浴の効果を最大限に引き出すようにしましょう。
紫外線は日光の成分では約6%と少ないですが、骨を強くするために必要なビタミンDを生成するために欠かせません。ただし、紫外線を浴びすぎると日焼けなどの皮膚トラブルを始め、身体に悪影響があります。さじ加減が難しいところですが、最近はニュースの天気予報で紫外線の量を教えてくれます。ビタミンDを作るために紫外線を浴びるなら、1日15分程度の散歩くらいがおすすめ。紫外線対策を行いながら上手に日光浴を行えば、健康法として十分な効果が期待できます。

気分が上がらないツライ朝には日光浴で柔らかく気分上昇
太陽の光は、身体だけでなく心の健康にも大切です。うつ症状の典型的なものに、朝に一番気分が落ち込む、早朝に目が覚めて疲れが取れないなどが挙げられます。気分が上がらない日に「自分を奮い立たせて頑張ろう」と考えただけで辛くなってしまうこともありますね。まずは外に出て、温暖な気候を肌で感じると、少し幸せな1日になりやすいのです。
体内時計のリセットや1日の気分を高めるためにも、まずは午前中に太陽の光を浴びることが心身の健康に繋がります。

<参考文献>
■国立環境研究所 地球環境研究センター
『絵とデータで読む太陽紫外線 −太陽と賢く仲良くつきあう法−』
■厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
『こころの耳』
■網本和、菅原憲一編集 医学書院
『物理療法学』
執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
午前中に、日光を浴びる生活をおくっていない人は、健康状態に不安が起きやすくなるリスクが2.42倍になります。
A: 午前中に、日光を浴びる生活をおくっていますか?
B: 人よりも健康状態に不安はありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
57.8%
233人 |
42.2%
170人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
19.85%
80人 |
37.97%
153人 |
23.57%
95人 |
18.61%
75人 |
Z検定値 | 4.31 |
---|---|
オッズ比 | 2.42 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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