解説
集中力を生み出す脳の働きをサポート
集中力を高めるためには、脳の中で情報の伝達がスムーズに行われて、さまざまな部位の働きや栄養のバランスが整っている必要があります。
脳は糖質をエネルギーにして働き、情報を伝える物質をやりとりしています。ですから、エネルギーの代謝や情報の伝達に関連した栄養素をとることで集中力を高めることができます。豆腐には、集中力に関係したさまざまな種類の栄養素が含まれているのです。では具体的にどんな栄養素が集中力を高めてくれるのでしょうか。
まずは神経伝達物質のひとつ“アセチルコリン”です。アセチルコリンは記憶や学習に関係していて、この分泌が不足する病気が認知症の代表ともいえるアルツハイマー病です。豆腐はアセチルコリンの元となるコリンをたくさん含んでいるので、記憶力をサポートすることが期待できます。
アミノ酸の1種で、豆腐のうまみ成分でもある“グルタミン酸”にもアセチルコリンと似た働きがあります。こちらも記憶や学習に関連する働きをしているのです。さらに、このグルタミン酸には、もうひとつアンモニアの無毒化という働きもあります。3大栄養素のひとつであるたんぱく質を身体の中で利用すると、アンモニアが作られてしまいます。このアンモニアは、脳の働きを妨げて集中力を低下させる原因になるのです。グルタミン酸はアンモニアと結びついて無毒化し、体外への排出を促してくれるので、脳を守り集中力を保ちやすくしています。
脳はエネルギーとして脂肪やたんぱく質を利用することができず、唯一使えるのは糖質です。その糖質をエネルギーに変えるビタミンB1も豆腐に含まれる栄養素です。ビタミンB1は、不足すると脳の働きを妨げて集中力を低下させてしまうので、集中力を高めるには大切なビタミンなのです。

ストレスでイライラして集中できないときは
身体に必要なミネラルの中でも、カルシウムやマグネシウムには脳神経の興奮を抑える効果があります。脳神経が興奮すると感情のコントロールが難しくなりイライラしやすくなってしまいます。精神的ストレスが多いとミネラルを消費する量が増えて不足しがちになるので、ストレス社会では心を落ち着かせて集中力を高めるのに重要な栄養素です。
ここまでに紹介したアミノ酸やビタミン、ミネラルはすべて豆腐に含まれています。そのまま味わう冷や奴、湯豆腐から焼いて美味しい豆腐ステーキ、ビタミンE豊富なゴマと合わせて白和えなどの和え衣など、豆腐は多彩なアレンジが可能で毎日食べても飽きない食材。集中力してものごとに取り組みたいときには、積極的に取り入れていきましょう。

<参考文献>
■日本豆腐協会 豆腐で元気レポート
『記憶・集中力向上促進・成分別分析』
■新国立劇場バレエ研修所
『カルシウム250mg(1日の1/4量)が摂取できる魚介のおかず 』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、豆腐を食べていない人は、人よりも集中力が続かなくなるリスクが1.7倍になります。
A: 週に1回以上、豆腐を食べていますか?
B: 人よりも集中力が続かないほうですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
72.7%
498人 |
27.3%
187人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
22.19%
152人 |
50.51%
346人 |
11.68%
80人 |
15.62%
107人 |
Z検定値 | 3.02 |
---|---|
オッズ比 | 1.7 |
信頼度 | 99.7% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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