解説
「仕事で大きなプロジェクトをやり遂げなきゃ!」「大切な資格試験に合格しなくちゃ!」こんな大事なときには、しっかり集中力を発揮して取り組みたいですよね。といっても、集中力や記憶力、学習能力などは“一夜漬け”では手に入りません。何かサプリメントを飲めば、明日から集中力アップ!というものではないんです。集中力をアップするには、普段の食事で、脳も身体も万全に整えておくことが大切です。
そこで、毎日あきずに食べられる味噌汁の具の種類や量を変えて、バリエーションを増やしてみてはどうでしょう。味噌汁の具になる食材には、集中力アップに効くものがたくさんあるんです。
記憶や学習に関わる神経伝達物質の材料になる栄養素を朝ごはんでちゃんと取ることで、日中の脳の働きを助け、集中力を生み出します。こうした栄養素は、味噌や豆腐などの大豆製品に多く含まれるので、豆腐や油揚げ、厚揚げの味噌汁などで取り入れてみてください。この栄養素は、大豆製品のほかに、卵黄にも多く含まれますから、卵を落とした豆腐の味噌汁や、ニラの卵とじ味噌汁などもおすすめです。
イライラしたり心がざわついた状態では、うまく集中できませんよね。そこで、心をコントロールして神経や精神を落ち着かせる働きをする素になるアミノ酸が大切。アミノ酸は、豆類や肉に多く含まれるので、豆腐の味噌汁はもちろん、豚汁もこうしたアミノ酸を効率的に取ることのできるメニューです。
脳が集中してバリバリ働くにはたくさんのエネルギーが必要です。ビタミンB1は、脳のエネルギーとして糖質を取り込むときに欠かせない栄養素ですが、ネギ類やニラ、ニンニクのにおいの正体である硫化アリルはビタミンB1の吸収を助けてくれます。いつもの味噌汁に青ネギをたっぷり入れたり、玉ねぎやニラを入れて香りを楽しんだりしてみてはいかがでしょうか。
便秘や下痢など、腸がうまく働いていないと、ものごとに集中しづらいですよね。食物繊維は腸の健康を整え、身体を集中しやすく整えてくれます。ワカメやもずく、とろろ昆布やあおさなどの海草類には、食物繊維がたっぷり。また、味噌汁の定番の大根を入れるときは、皮ごとにして食物繊維の量をアップしましょう。食物繊維は、小松菜やほうれん草、大根葉やカブの葉などの緑黄色野菜、なめこやしいたけ、えのきなどのきのこ類にも豊富です。これらの食材をたくさん使った食べごたえのある味噌汁で、食物繊維をたっぷり取り込んでみてくださいね。
ものごとに集中したいときに腹痛に襲われる、なんてことも避けたいもの。胃の粘膜を守り、疲労回復に役立つのは、さといもやオクラのぬめり成分。これらは、コレステロールの吸収も抑えてくれる働き者の体調サポート食材です。とろっとした味噌汁もおいしいですよ。
また、松葉などの針葉樹の葉がもつ香り成分には、自律神経を落ち着かせてくれる物質が含まれていて、胃腸の働きをよくして咳を鎮める働きがあります。松葉は食べられませんが、実は春菊の香りにも同じ成分に含まれているんですね。春菊の味噌汁は、茶色くならない程度に火を通すようにしましょう。
いかがでしょうか。味噌汁の具をちょっと工夫するだけで、たくさんの栄養素をいつもより多く取り込めそうですね。毎日の味噌汁の具をひとつ増やして、集中力みなぎる充実した日々を送りましょう。

<参考文献>
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
■白鳥早奈英、板木利隆監修 高橋書店
『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』
執筆 : 麓加誉子
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、具だくさんの味噌汁を飲んでいない人は、人よりも集中力が続かなくなるリスクが1.73倍になります。
A: 週に1回以上、具だくさんの味噌汁を飲んでいますか?
B: 人よりも集中力が続かないほうですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
55.6%
299人 |
44.4%
239人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
18.77%
101人 |
36.8%
198人 |
20.82%
112人 |
23.61%
127人 |
Z検定値 | 3.08 |
---|---|
オッズ比 | 1.73 |
信頼度 | 99.7% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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