解説
押し入れから出してきた服で家庭内メタボ検診
厚生労働省が定めるメタボリックシンドロームの検診における腹囲周径の基準値は男性で85cm、女性で90cm。腹囲の数値がこれ以上で、さらに血圧や血糖、血清脂質の3つのうち2つ以上が基準値を超えるとメタボリックシンドロームと診断されます。腹囲を測定する部位は、正確にはズボンのウエストよりも少し上になりますが、おおむねウエストまわりと考えてよいでしょう。
とはいっても、メタボ検診で測定する腹囲の数値を詳細に覚えておくことは難しいですね。ですが、結婚式やフォーマルな場に行くために、クローゼットから礼服を取り出して着てみたところ、ウエストまわりがきつくてボタンやホックが留められない…なんていう経験はないでしょうか?以前に買ったパンツやスカートを履くことが可能か不可能か、この方法であれば以前よりもお腹周りが太くなったか、それとも細くなったのかはすぐにわかりますね。つまり、腹囲を「おおよそウエストまわり」と考えることで、日常的にメタボリックシンドロームを意識しやすくなるのです。

好きな運動で汗をかいてメタボ対策
厚生労働省によると、メタボ対策として運動するのであれば1週間にある程度以上のまとまった有酸素運動をすることが必要であるとされています。推奨の運動量を1回でクリアしようとすると、スイミングの平泳ぎや時速9.7kmのランニングを1時間行うなど、かなりハードな運動を行うことになります。
そこまでハードな運動はなかなか難しいですから、週に数回に運動を分けて行うようにしましょう。これならば、早歩き(ウォーキング)などもう少し楽な運動で大丈夫。大切なことは1週間で必要な運動量を確保することです。「汗をかく」「軽く息がはずむ」を目安にすれば十分な運動効果が得られます。
運動量の目安は、早歩きならば合計で2時間くらいです。そのほか自転車こぎ、ジョギングなど好みに合った有酸素運動を行いましょう。運動が三日坊主にならないための工夫として、さまざまな種類の運動を日替わりでローテーションさせたり、子供と外で遊ぶ時間や自宅の掃除、庭仕事なども運動の1つと意識して日常に組み込むこともおすすめです。実は、子供と走り回って遊ぶのはウォーキングよりもきつい運動なのです。
ウエストまわりを細くするためには、筋力トレーニングも忘れてはいけない重要な運動です。全身の筋肉量を増やすと基礎代謝量がアップします。特に“体幹トレーニング”といわれる胴体を支える腹筋や背筋などの大きな筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れて、脂肪が燃焼しやすい身体づくりを目指しましょう。

<参考文献>
■厚生労働省 e-ヘルスネット
『メタボリックシンドロームの診断基準』
■厚生労働省
『健康づくりのための身体活動基準 2013』
執筆 : 理学療法士 田中渉
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に1回以上、汗をかくような運動をしていない人は、2年以内に、ウエストがきつくて服が着られなくなりやすくなるリスクが3.27倍になります。
A: 週に1回以上、汗をかくような運動をしますか?
B: ここ2年以内に、ウエストがきつくて服が着られなくなったことがありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
17.5%
54人 |
82.5%
255人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
1.94%
6人 |
15.53%
48人 |
23.95%
74人 |
58.58%
181人 |
Z検定値 | 2.73 |
---|---|
オッズ比 | 3.27 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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