解説

「血糖値が高いですね」なんて健康診断で注意されたら、落ち込んでしまうこともありますよね。「昨日食べた大盛りのご飯がいけなかったの?」なんて後悔してみたり。でも、そんなときこそ気持ちを切り替えて明るく笑いましょう。なぜなら、笑うと血糖値が下がるからなんです!
笑うことによって血糖値が下がった、という医学的研究は日本でもヨーロッパでも、実はいくつもあります。笑うことで血糖値が下がる理由として、「笑いにともなうポジティブな感情が心臓や血管の健康によい影響を与えるから」、また、「笑うことで身体がリラックスして、血糖値をコントロールするホルモン“インスリン”の働きがよくなるから」といったことが考えられています。
ところで、親しい人から面白いことを教えてもらったり、友達と一緒に面白いものを見て笑うと、笑いの効果が高まるという研究もあるんですよ。楽しいことや面白いことを家族や友人とシェアして、高血糖を効果的に防ぎましょう。

笑いは身体をポジティブに変える
笑ってリラックスするだけで血糖値が下がるなんて、お得すぎて「本当に!?」と思ってしまうかもしれません。でも、これは本当のこと。日本でもヨーロッパでも、笑うことで食後の血糖値が下がった、という研究があります。
食後に血糖値がある程度まで上がることそのものは普通のことですが、中には血糖値の急上昇・急降下(血糖値スパイク)が起きる人もいて、頭痛など思わぬ不調の原因になったりします。
糖尿病の患者さんの場合、食べてはいけないものが多くて、厳格な食事のコントロールはとても難しいし、運動習慣のない人が新しく運動を始めるのは大変。うまくできなかったときは「医師に叱られてしまうのでは?」と心配になることもあり、食事療法や運動療法を続けるモチベーションが続かない、という場合があるんですね。
そこで取り入れたいのが「笑い療法」。なにしろ大笑いするだけですから、心理的ハードルがはるかに低くなります。大阪で行われた健康教室での笑い療法の試みでは、プロの噺家による落語を聞いて大いに笑ったり、ヨガで良い呼吸の仕方を習ったり、とっても楽しそう。これなら続けられそう、という気がしてきます。
笑い療法の試みでは、健康教室で笑ったり深呼吸を習ったグループの人たちは、笑い療法を受けなかったグループに比べて、血糖値のコントロールが良くなったという結果が出ています。その理由として、笑うことそのものが軽い運動になっているということもありますが、笑ってリラックスすることで、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが良くなったという可能性もあるそうです。

「笑い体質」になろう
ところで、笑い療法を糖尿病治療に取り入れる試みの中で、男性は女性よりも笑うことが少ないという課題が見えてきました。「真面目でいなきゃいけない、声を出して笑ったりしてはいけない」というプレッシャーは男性のほうが強いのかもしれませんね。
そこで、男性にも、また笑い上手な女性にもおすすめしたいのが笑いのシェア。家族や友達とみんなで面白がって笑うということです。
笑うと血糖値が下がるだけでなく、痛みを和らげる物質“エンドルフィン”の分泌が高まる効果があります。イギリスで行われた、凍らせたワインの保冷剤に腕を入れて、痛いくらいの冷たさに耐える、というなかなかキツい実験では、コメディビデオを見た人のほうがより長く耐えられたといいます。しかも、1人ではなくて何人かで一緒に見たほうが、効果が高まるみたいなんです。ちなみに、シチュエーションコメディがいちばん効果があったそうで、研究者のおすすめは『Mr.ビーン』とのこと。
もともと、人は中学生ぐらいで学校で友達とお互いに面白いものを教えあって、笑いのセンスを磨く時期があるといいます。そのときの気持ちを思い出して、親しい人と笑いをシェアして楽しい時間を過ごすことが、なによりの健康法だったというわけですね。

<参考文献>
■福島県立医科大学
『糖尿病の予防・コントロールのための笑いを用いた健康教室の効果』
■BBC NEWS
『Study reveals laughter really is the best medicine』
■BioMed Central
『Intradialytic Laughter Yoga therapy for haemodialysis patients: a pre-post intervention feasibility study』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
楽しい・面白い話を家族や友人と共有していない人は、高血糖と診断されやすくなるリスクが6.02倍になります。
A: 楽しい・面白い話を家族や友人と共有していますか?
B: 高血糖と診断されたことはありますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
82.2%
254人 |
17.8%
55人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.59%
8人 |
79.61%
246人 |
2.91%
9人 |
14.89%
46人 |
Z検定値 | 3.9 |
---|---|
オッズ比 | 6.02 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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