解説
片頭痛の原因その1.グルタミン酸ナトリウム
頭の片方が痛む病気の代表として片頭痛があります。片頭痛とは頭の血管が急に広がったときに、周りの神経を刺激することで痛みが出る病気です。片頭痛が発生するメカニズムのすべてが解明されているわけではなく、複数の原因があると考えられています。片頭痛が起こる原因の1つとして、食べ物の中に含まれる物質が関係していることも考えられています。
食品に含まれる片頭痛を引き起こしやすいといわれている成分には、“ポリフェノール”や“カフェイン”、“チラミン”、そして“グルタミン酸ナトリウム”などがあります。グルタミン酸を多く含んでいるのは昆布。昆布だしのうま味の元はこのグルタミン酸です。このことから、グルタミン酸ナトリウムはうま味調味料の成分としてよく料理に用いられます。調味料として使えば簡単に良い味が得られるため、多くのスナック菓子にも使用されています。
チラミンはたんぱく質が酵素によって分解されることで作られる成分で、チーズに多く含まれています。このため片頭痛の症状がある人にとって、チーズは要注意の食品。スナック菓子の中にはチーズ味のものがあり、たっぷりチーズを使っていることを打ち出している製品もあるので注意しましょう。

片頭痛の原因その2.低血糖
さらに、低血糖も片頭痛の原因になりえます。「スナック菓子を食べたら、むしろ血糖値は上がるのではないの?」と思われるかもしれません。ですが、スナック菓子を食べることで低血糖になることもあるのです。
スナック菓子のように糖質を多く含むものを短時間で食べると、もちろん最初は血糖値が上がります。すると身体の中では血糖値を正常な値に戻すために、インスリンというホルモンが放出されます。このインスリンは血糖値が高ければ高いほどたくさん分泌されます。すると血糖値は速やかに低下しますが、インスリンが残っていると、血糖値が正常な値に戻っていてもさらに下げようとするため、低血糖になってしまうのです。跳ね上がった血糖値を急いで下げようとして、必要以上に下げすぎてしまうのですね。
では、低血糖がどのように片頭痛を起こすのでしょうか。1つには、上で説明したように余ったインスリンから活性酸素が発生し、脳の細胞を傷つけてしまうことで起きる頭痛が考えられます。もう1つは低血糖になると、身体は「エネルギーが無くなってしまう」と非常事態に備えて、アドレナリンなどの血糖値を上げるホルモンを放出します。アドレナリンは血糖値を上げる作用のほかに交感神経を刺激する作用もあります。自律神経の中でも交感神経は血管に対して収縮を促すように働くため、いったん収縮した血管が拡張するときに片頭痛を引き起こすのです。
もし普段から片頭痛が起きやすく、スナック菓子を食べることが多い場合は、思い切ってスナック菓子をやめてみましょう。どうしてもやめられないときはグルタミン酸ナトリウムがあまり増えないような、そして血糖値が急上昇しないような食べ方の注意が必要です。小分けになった袋など量の調整がしやすいものにして、ゆっくり食べるようにしてみましょう。

<参考文献>
■エーザイ 医療関係者の皆さまへ
『片頭痛の病態と誘発因子』
■日本うま味調味料協会
『「うま味」ってなんだろう?』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
スナック菓子を食べないようにしていない人は、頭の片側が痛むことが多くなりやすくなるリスクが2.58倍になります。
A: スナック菓子を食べないようにしていますか?
B: 頭の片側が痛むことは多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
33.0%
102人 |
67.0%
207人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
7.12%
22人 |
25.89%
80人 |
27.83%
86人 |
39.16%
121人 |
Z検定値 | 3.46 |
---|---|
オッズ比 | 2.58 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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