解説
血糖値を安定させる生野菜の働き
ファーストフードやコンビニ弁当、菓子パンなどは手軽に食べられるので、仕事や勉強に忙しい人にとって便利な食べものですね。しかし、これらの食べものは、摂取する糖質や脂質の量が増える一方、身体の調子を整える役割を果たす野菜は不足しがちです。
糖尿病などの生活習慣病予防のためには、野菜を1日に350g以上とる必要があるといわれていますが、忙しい現代社会では「努力しないと難しい」という人も多いようです。この目標を達成するには、休みの日に野菜を茹でて冷凍しておく、野菜やきのこなどの常備菜を作りおきして保存しておく、といった工夫が必要になります。
そこで、手軽に食べられる野菜料理として生野菜サラダをふだんの食事にとり入れましょう。生野菜は、熱を加えずに食べるため、野菜そのもののビタミンやミネラルを調理で失わずにとることができます。特に、高い抗酸化作用・抗ストレス作用をもつビタミンCは加熱に弱いため、調理で熱を加えるとその効果を半減させてしまうことになります。
また、眠気やだるさといった日常のちょっとした不調は、血液中のブドウ糖の量、つまり血糖値の影響を受けることがあります。食事で多くの糖質をとると、急激に血糖値が上がります。血糖値が正常値よりも高くなると、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されるのですが、血糖値が急激に上がると大量のインスリンが分泌されます。大量のインスリンが急激に分泌されると、今度は血糖値が急激に下がってしまいます。
食事のたびに、このような血糖値の乱高下を繰り返していると、血糖値が高いときには満腹感で眠くなり、血糖値が下がると手足に力が入らずにだるくなったり、頭痛やイライラを感じたりといったことが多くなります。

買い物のときにもう1品の生野菜をプラス
血糖値がひんぱんに高くなる状態を放置しておくと、日中でも眠気やだるさを感じることが多くなるだけでなく、将来の糖尿病につながる可能性も高くなります。急激な血糖値の上昇や低下を防ぐためには、野菜を食事の最初に食べるとよいといわれていますね。野菜サラダをご飯の前に食べた場合とご飯の後に食べた場合では、先に野菜サラダを食べた方が血糖値の上昇を抑えることができるということが、実験でも確かめられています。
「野菜を食べよう」と思ったときに、手軽に食べられる総菜を利用するという場合もあるかもしれません。炒めたり煮たり、ゆでて味をつけた野菜たっぷりの総菜であれば量をとりやすく、1日350gという目標を達成しやすくなります。ただし、野菜のごま和えや煮物といった総菜であっても、調理から時間が経つとビタミンCがかなり失われてしまうという報告があります。
そこで、総菜を利用する場合でも、生野菜をプラスするのがおすすめです。洗うだけのサラダ用リーフミックスやトマト、スプラウトなど生食向けの野菜は種類が豊富で値段も手頃になっています。下ごしらえや調理の手間をあまりかけずに、もう一品の野菜サラダをプラスすることで、野菜の種類も栄養もより豊富にすることができるのです。

<参考文献>
■糖尿病
『低Glycemic Index食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響』
■日本食品科学工学会誌
『新鮮野菜および調理野菜の食する時点におけるビタミンC量』
■野菜等健康食生活協議会
『野菜に含まれるポリフェノール類やビタミンなどの有効成分は、加熱調理によってどのくらい失われますか?』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、生野菜のサラダを食べていない人は、日中に眠気やだるさを感じることが多くなるリスクが1.4倍になります。
A: 週に3回以上、生野菜のサラダを食べていますか?
B: 日中に眠気やだるさを感じることは多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
55.1%
685人 |
44.9%
559人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
35.29%
439人 |
19.77%
246人 |
32.07%
399人 |
12.86%
160人 |
Z検定値 | 2.73 |
---|---|
オッズ比 | 1.4 |
信頼度 | 99.3% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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