解説

食事前の血糖値は正常なのに、食後に血糖値が急激に上昇・下降することを血糖値スパイク(グルコーススパイク)といいます。血糖コントロールが不安定な状態が続くと、イライラや眠気、頭痛などの不調がでたり糖尿病や動脈硬化、脳卒中のリスクが増えたりします。ここでは血糖値スパイクを抑える野菜中心の食生活について解説します。
血糖値スパイク対策は野菜中心の食生活から!
健康診断でも引っかかってしまいがちな血糖値。結果を受け取るたびに「食生活に気をつけなきゃ…」と反省するものの、どのように気をつければよいかわからない人も多いと思います。
そんな人には緑黄色野菜をしっかりと取ることをオススメします。パスタやラーメンなどといった糖質をエネルギーに変えるときにはビタミンB1が使われますが、各種のビタミンを多く含む緑黄色野菜は、ビタミンB1不足を防いでくれます。
また、野菜には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は血糖値が急激に上昇する“血糖値スパイク”を防いで、糖質を効率よくエネルギーに変える手助けをしてくれるんです。緑黄色野菜は加熱して食べることが多く、量を多く取ることができるので、食物繊維もたっぷり取ることができるんです。
ビタミンと食物繊維を多く含む緑黄色野菜をしっかり取って、気になる血糖値を正常化しましょう。

血糖値スパイクを放置するとどうなるの?
健康診断で「血糖値が高い」といわれても、自覚症状がない人が大半だと思います。それもそのはず、血糖値が高いだけでは、痛みや気分の悪さなどの目立つ症状は特に出ません。しかし、血糖値が高い状態が長期間続くとさまざまな症状が出てきます。
食事の後、急に血糖値が上がったり下がったりすることを“血糖値スパイク”(または、“グルコーススパイク)”といい、仕事などの能率を下げてしまうイライラや眠気、不安感や頭痛などの不調につながることがあります。
また、血管がつまってしまう症状になることもあります。大きな血管でこれが起これば動脈硬化につながってしまいますし、眼の周りの細い血管で起これば失明につながるリスクが高くなります。このようにじわじわと知らない間に症状が進行してしまうのが高血糖の怖いところです。
また、血糖値が高い状態が続くと、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインスリンの働きが弱くなってしまいます。インスリンの働きが弱まると糖尿病になってしまうリスクが高まります。糖尿病は、視力の低下や腎臓の機能低下といった、深刻な合併症を複数発症してしまうことが多いのです。糖尿病もまた、ゆっくりと進行していき、身体をむしばんでいくのです。

野菜のビタミンと食物繊維で血糖値を正常化しよう
血糖値を正常な値に戻すには、毎日の食生活に気を配ることが大切です。特に、緑黄色野菜を中心とした野菜をたっぷりと取る食事を心がけましょう。
パスタやラーメンといった糖質は、身体を動かすエネルギーとして重要な栄養素です。しかし、糖質をエネルギーとして使うには、糖質をエネルギーに変える、つまり代謝する必要があります。この糖質の代謝には、ビタミンB1が欠かせません。
緑黄色野菜の中でも、ニンジンやカボチャなどにはビタミンB1が豊富に含まれています。また、緑黄色野菜にはビタミンB1以外の種類のビタミンもたくさん含まれているので、血糖値対策だけでなく身体全体の健康に役立ちます。
また、糖質を効率よくエネルギーに変えるには、糖質をゆっくりと吸収し、血糖値スパイクを起こさせないことも大切です。血糖値の急激な上昇を防ぐために非常に効果的なのが食物繊維。
食物繊維は、緑黄色野菜をはじめとする野菜や海草、きのこに多く含まれています。また、オクラのネバネバや豆類などにも食物繊維がたっぷり含まれているので、積極的に取るとよいでしょう。

緑黄色野菜をおいしく取り入れるには?
ビタミンや食物繊維が豊富な野菜やフルーツ。これらを、1日に350g以上、中でも緑黄色野菜をおよそ120g以上を目標に取るとよいでしょう。しかし、この量を生野菜で補おうとすると、かなりの量になってしまいますので、加熱して調理するのがオススメです。
特に、緑黄色野菜は加熱して、かさを減らして食べるものが多く、量をたっぷり取るのに最適です。小松菜や春菊などの葉野菜、グリーンピースやさやえんどうなどの豆、ピーマンやトマトなどの実野菜というように、緑黄色野菜は味わいや食べ方の幅が広いですよね。
調理法もゆでる、あえる、煮るなどバリエーションがあるので、今日は葉物たっぷりのなべ物、明日はゆでた豆のサラダといったように、毎日おいしく変化をつけて食べることができますね。これならあきることなく続けられそうです。
野菜やフルーツ、その中でも特に緑黄色野菜を意識して食生活の中に取り入れ、血糖値スパイクや、怖い病気を引き起こす高血糖を防ぎましょう。

<参考文献>
■落合慈之監修 学研メディカル秀潤社
『糖尿病・代謝・栄養疾患ビジュアルブック』
■講談社
『食品学 食べ物と健康 (栄養科学シリーズNEXT)』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
週に3回以上、緑黄色野菜を食べていない人は、血糖値が基準値を超えるリスクが3.89倍となります。
A: 週に3回以上、緑黄色野菜を食べていますか?
B: 血糖値は基準値を超えていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
75.7%
218人 |
24.3%
70人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
2.43%
7人 |
73.26%
211人 |
2.78%
8人 |
21.53%
62人 |
Z検定値 | 2.69 |
---|---|
オッズ比 | 3.89 |
信頼度 | 99.2% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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