解説
今日は集中して細かい作業をしなきゃ…そんなときに、眠気やぼんやり感、お腹の不調で注意力が働かなかったら困りますよね。実は、大根に集中力をアップする力があるって、知っていますか?
大根には“ジアスターゼ”という酵素が含まれています。この酵素はでんぷんの分解を助けます。分解されたでんぷんは糖質として、脳のエネルギーになり、脳が元気に活動できるようになって集中力がアップする、というわけなんですね。大根のジアスターゼは、集中力を生み出す、脳に必要なエネルギーを届ける強力なサポート役なんです。
大根を食べるときは皮ごと食べるのがおすすめです。大根には食物繊維が含まれているのですが、皮も食べた方が食物繊維を多くとることができます。多くといってもわずかの差ではあるのですが、大切な栄養は少しでも多くとった方が良いですよね。
ところで、ジアスターゼは熱に弱い酵素なので、火を通すと壊れてしまいます。しかし、生のまま食べる大根おろしなら、酵素を壊さずに食物繊維も多くとることができるというわけです。

食事のはじめに食物繊維をとると、血糖値の変動がおだやかになります。食事に含まれる糖質が多すぎると、食後に血糖値が急上昇、そして元の値に戻ろうとして急降下することがあります。これを“血糖値スパイク”や“グルコーススパイク”といいますが、このせいで眠くなったりイライラしたりと集中力が乱れてしまうことがあるんですね。食物繊維をちゃんととっておくことで、血糖値の乱高下を防いでくれるんです。
また、食物繊維を多くとることで、腸内環境も改善されます。食物繊維が便秘や下痢など改善して、不調による身体の緊張をほぐしてくれます。お腹の調子が安定すれば集中力もアップしますよね。
ところで、集中力アップには、ジアスターゼや食物繊維を含む大根だけでなく、脳のエネルギーとなる糖質を代謝するのに必要な栄養素であるビタミンB1も合わせてしっかりとりたいところです。大根にもビタミンB1は含まれてはいるのですが、量が少ないので、ビタミンB1を多く含むたんぱく質を大根と一緒に食べることがおすすめなんです。
大根には、たんぱく質を消化しやすくしてくれる、嬉しい酵素“プロテアーゼ”も含まれています。それから大根おろしのツンとくる辛味のもと、“イソチオシアネート”は消化液の分泌を促す成分。こうした成分の力で、肉などのたんぱく質を消化しやすくなり、脳がエネルギーを使うときにもっとビタミンB1を利用できるというわけです。
例えば、大根おろしとポークソテー。豚肉はビタミンB1を豊富に含みます。また、豆類もビタミンB1を多く含む食材なので、大根おろしと焼いた厚揚げも、糖質を効率よくエネルギーに変えるのに効果的なメニューです。皮ごと大根とビタミンB1、一緒においしく上手に食べて、集中力をアップしましょう!

<参考文献>
■文部科学省
『日本食品標準成分表 2015年版(七訂)』
■キユーピー もっと野菜を。もっと食卓に。
『大根』
■宮城県薬剤師会
『野菜の花 ダイコン』
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
大根を皮ごと食べていない人は、注意力が散漫になりやすくなるリスクが6.09倍になります。
A: 大根を皮ごと食べていますか?
B: 人よりも注意力が散漫になりやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
11.0%
34人 |
89.0%
275人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
0.97%
3人 |
10.03%
31人 |
33.01%
102人 |
55.99%
173人 |
Z検定値 | 3.28 |
---|---|
オッズ比 | 6.09 |
信頼度 | 99.8% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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